オミクロン株はデルタ株より広がるか ポイントは感染速度
オミクロン株がワクチンの防護機能をすり抜けるかどうかの第1弾の手掛かりも、2週間で出てくる、と専門家は見込む。ワクチン接種者や研究用の動物から採取した血液サンプルについて、オミクロン株感染後の抗体を分析することで、最初のデータが得られるからだ。
ムーア氏は「オミクロン株を作り出し、抗体の感度を調べようと積極的に動いている研究室は多い。これは数週間かかるだろう」と説明した。
スパイク変異の脅威
コロンビア大学のデービッド・ホー教授(微生物学・免疫学)は、オミクロン株のスパイク(ウイルス表面の突起)における変異場所に基づき、中和抗体への抵抗力はかなり強いだろうとみている。「ワクチンの抗体は新型コロナウイルスのスパイクの3カ所を標的にしており、オミクロン株は3カ所全てで変異している。われわれ生物学の専門家は、(オミクロン株の)構造分析上の知識があるので、公衆衛生専門家よりもずっと心配している」と語った。
一方、ベータ株など以前の変異株にもワクチン効果を弱める変異があったものの、ワクチンは重症化や死亡を防ぐのに役立ったとの意見も出ている。
こうした見解を持つ人々は、ワクチンの中和抗体が働きにくくなったとしても、「T細胞」や「B細胞」といった別の免疫システムが穴埋めしてくれそうだと述べた。
ペン・インスティテュート・フォー・イミュノロジーのジョン・ウェリー所長は「ワクチンは引き続き入院を防いでくれるだろう」と期待する。
現実世界において、オミクロン株に対するワクチン効果が判明するには最低でも3─4週間かかる、とミネソタ大学の感染症専門家マイケル・オスターホルム博士は想定している。ワクチン接種者へのいわゆる「ブレークスルー感染」の比率を調べる必要があるためだ。
コロンビア大学のホー氏は、他のあらゆる変異株との競争を制したデルタ株が存在する中で、オミクロン株が広がっている事実に不安を表明した。
それでも本当に心配すべきかは、まだはっきりしないとの声も聞かれる。ホテッツ氏は、オミクロン株の拡大につながった特異な変異について言えば、アルファ株ないしデルタ株とそれほど大きな違いはないように見えると指摘した。
(Nancy Lapid 記者、Julie Steenhuysen 記者)
【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...