最新記事

パンデミック

オミクロン株、欧州やオーストラリアなど世界各地に広がる 各国で対策強化の動き

2021年11月29日(月)09時09分
イスラエル・テルアビブの空港

南アフリカで最初に見つかった新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン」の感染が世界各地に広がっている。イスラエル・テルアビブの空港で撮影(2021年 ロイター/Amir Cohen)

南アフリカで最初に見つかった新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン」の感染が世界各地に広がっている。27日に英国、ドイツ、イタリアなどで新たな感染者が確認されたのに続き、28日にはオランダ、デンマーク、オーストラリアでも報告され、渡航制限を導入する動きも広がっている。

世界保健機関(WHO)はオミクロン株について、他の変異株と比べて感染力や重症化リスクが高いかどうかは、まだ明らかになっていないと説明。把握には数日から数週間かかるとの見解を示した。

また、ワクチンを含む既存のウイルス対策にどういった影響があるか調べるため、専門家と協力しているとした。

英国は、主要7カ国(G7)の保健相による緊急会合を29日に開催すると発表した。

オランダの保健当局は、26日に南アからアムステルダムに到着した航空機2機の乗客からオミクロン株への感染者が13人確認されたと発表した。乗客約600人のうち61人に陽性反応があり、オミクロン型への感染かどうか調べていた。

同国の保健相は、記者団に対し「これは氷山の一角かもしれない」と語った。

WHOは26日、独立専門家会合を開き、オミクロン株を「懸念される変異ウイルス(VOC)」に指定した。

現在、オーストラリア、ベルギー、ボツワナ、英国、デンマーク、ドイツ、香港、イスラエル、イタリア、オランダ、南アで検出されている。

感染拡大を阻止するため、多くの国がアフリカ南部への渡航を禁止・制限している。

イスラエルは27日夜、全ての外国人の入国を禁止し、テロ対策に用いている通話データの追跡技術を再び採用して、オミクロン株の感染拡大を抑制する方針を発表した。

ベネット首相によると、入国禁止措置は政府の承認を経て14日間導入される。

英国は、入国時の検査の厳格化や小売店内などでのマスク着用義務などの対策を打ち出している。

28日にはインドネシアやサウジアラビアなど、さらに多くの国がアフリカ南部への渡航制限を発表した。

南アのラマポーザ大統領は、こうした措置は不公平で、自国経済に悪影響を及ぼす可能性があると指摘。新たな変異株を早期に発見した科学的能力が罰せられていると非難した。

南アの医師によると、オミクロンの症状は今のところ軽度で、自宅で治療できるという。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中