祝祭で人々が沐浴するインド・ヤムナー川、有害物質の泡で覆われた
下水整備は停滞、当面は泡を隠す対応
ヤムナー川は首都を潤す貴重な水源だが、産業排水や生活排水などに加え、田畑で使われる農薬も混入している。トーク番組の司会者として知られるラージャト・シャルマ氏は、自らが運営するニュースメディア『インディアTV』において、後手に回る政府の対応を非難した。下水道整備の計画は前々から持ち上がっているが、土地収用の問題などから大幅な遅れが出ているという。
当座の処置として地元当局は川沿いにバリケードを設置し、信者たちが川に近づかないよう妨害を試みている。警察は川に入らないよう警告した立て札を設置しているが、汚染を認めたわけではなく、あくまで「ヤムナー川は深く危険なため」との口実だ。
川を封鎖する代わりとしてデリー政府は、信者たちが安全な場所でチャットプージャの祭りに参加できるよう、人工の池を約800ヶ所にわたり整備した。しかし、聖なるヤムナー川で行う伝統に反するとして、地元議員を含む多くの信者が反発している。
悪化する水質への苦肉の策として、デリー水道公社はヤムナー川への散水を始めた。水を散布することで有害な泡を減らそうとの作戦だ。また、モーターボート15隻ほどを投入し、職員が泡をつついてつぶそうと躍起になっている。しかし、どちらの計画も実を結んでおらず、仮に泡が消えたところで川の汚染度が下がるわけではない。
インディペンデント紙は「しかしながら、川の有害な泡が生成される原因は根が深く、短期的な取り組みによって抑えることは難しいとみられる」との見解を示している。
人々の反応はさまざまだ。毎年繰り返される泡の大量発生に慣れ、沐浴の合間に泡と一緒に自撮りに勤しむ姿も散見される。一方、明らかに黒ずんだ水での沐浴にためらいをみせる信者も多い。本来の清浄な川で祈りを捧げるようになるまで、もう少し時間がかかりそうだ。