欧米の偽善、国連会議で振りかざす「緑の植民地主義」を糾弾する
Colonialism in Green
国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に集まった各国代表の一部 CHRISTOPHER FURLONGーPOOLーREUTERS
<先進国中で最も化石燃料への依存度が高いのがノルウェーだが、北欧をはじめ富裕国は、温暖化対策の名を借りてアフリカの貧困国に「天然ガス開発をやめろ」と告げている>
欧州各国が天然ガス価格の高騰に悲鳴を上げるなか、実は笑いの止まらない国がある。北欧のノルウェーだ。
ロシアを除き、この国は欧州一帯に最も多くの天然ガスを供給しており、つい最近も20億立方メートルの供給増で合意したばかりだ。
そのノルウェー政府が、一部の最貧国に対しては天然ガスを使うな、掘るなと圧力をかけている。
フォーリン・ポリシー誌の入手した非公開文書によれば、他の北欧諸国やバルト3国と足並みをそろえて世界銀行に働き掛け、アフリカ諸国などでの天然ガス事業への融資を2025年までにやめろ、経過期間中の融資も「例外的」な場合に限ったものにせよと要求している。
イギリスで開催中のCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)でも、先進20カ国が国外での化石燃料事業への支援を22年末までに全面的に停止すると発表した。
さらに北欧・バルト3国連合は世銀に対し、途上国には「緑の水素(製造過程で二酸化炭素などを排出しない水素エネルギー)」や「スマート・マイクログリッド(次世代小規模送電網)」のようなクリーンエネルギーの導入を促すべきだと提案している。
ご冗談を。「緑の水素」は現時点で最も複雑かつ高コストな技術であり、「スマート・マイクログリッド」も現時点で先進国にさえ存在していない。そんなものを最貧国が、わずか数年のうちに実現できるわけがない。
太陽光発電や風力発電の設備なら数年で設置できるかもしれないが、それだけではグローバルサウス(途上国の大半が位置する南半球)のエネルギー需要を満たせない。だからどうしても、化石燃料に頼るしかない。
そして化石燃料の中では、天然ガスが最もクリーンな選択肢だ。
サハラ砂漠以南のアフリカには最貧国が多いが、その沖合の海底には豊富な天然ガスが眠っている。この資源を利用する事業への融資を止めるのは、これら諸国の経済的発展と生活水準の向上に不可欠なエネルギーインフラへの支援を断つことに等しい。
もう住宅や学校、工場への電力供給も、セメントや鋼材の製造に必要な熱源も、化学肥料の製造に使う二酸化炭素も、輸送機関で使う液化天然ガスも台所で使うガスも手に入らなくなる。
富裕国の身勝手な論理
WHO(世界保健機関)によると、年に約380万人が屋内の空気汚染に起因する健康被害で若いうちに命を落としている。犠牲者の大半は南の貧困国に暮らす人々(全体では約26億人)だ。
電気もガスもないから調理には薪や石炭、炭、動物のふんなどを使っているが、有毒な煙が出る。それを吸い込んだ女性や子供が犠牲になる。