「数字並べただけで戦略なし」 COP26でのブラジル気候変動目標に厳しい見方
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英国北部グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)において、2030年までに森林破壊に終止符を打つことを宣言した国は100以上に及ぶ。その中でも特に大きな歓迎を受けた国が、ブラジルだ。写真は伐採されたブラジルの熱帯雨林、9月28日に北部ロンドニア州で撮影(2021年 ロイター/Adriano Machado)
英国北部グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)において、2030年までに森林破壊に終止符を打つことを宣言した国は100以上に及ぶ。その中でも特に大きな歓迎を受けた国が、ブラジルだ。
世界最大規模となるアマゾン川流域の熱帯雨林の60%がブラジルに存在しているから、というだけではない。2019年1月に極右のジャイル・ボルソナロ氏が大統領に就任して以来、ブラジル領アマゾンの破壊が急速に進行しているためだ。
「2030年までに森林破壊停止」という目標の達成を目指すのであれば、ブラジルの参加は不可欠だ。だからこそ、米国で気候変動問題を担当するジョン・ケリー大統領特使は、ブラジルの環境担当大臣が11月1日、COP26の席上で2年前倒しとなる2028年までに違法な森林破壊を止めさせるという野心的計画を発表したことを称賛した。
「今後の協力が楽しみだ」とケリー氏はツイッターに投稿した。
だが、科学者や非営利団体(NPO)関係者、先住民グループは懐疑的だ。
「環境対策のリーダー」、復権は程遠く
「この3年間、森林破壊は進む一方だ」。ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)に所属し、グローバルな気候変動におけるアマゾンの役割を研究する科学者ルチアナ・ガッティ氏は語る。
「規制の執行状況と環境破壊に対する罰金制度を根本的に見直さなければ、そうした目標の達成は非常に困難だろう」とガッティ氏は言う。