電車内のレイプを米通勤客は見て見ぬふり それどころかスマホ撮影も
Bystanders Who Possibly Recorded Woman's Rape on Commuter Train Could Face Charges
警察によれば、通勤電車内で女性がレイプされているとき、乗客からは通報もなかった Associated Press-YouTube
<現場にいた複数の乗客は、犯人を制圧できないまでも、通報ぐらいはできたはずだった。警官が呆れる無関心ぶり>
ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外を走る通勤電車の車内で10月13日、男が女性に性的暴行を加える事件が発生した。車内には他の乗客もいたのに誰も止めに入らたなかった、という警察の話が当初、コミュニティーに大きな衝撃をもたらした。
だがその後に警察が明かした事実もっとひどかった。乗客のなかには、スマホで犯行を撮影していた者までいたというのだ。それらの乗客も告発されるかもしれないと、事件発生地域を管轄するアッパー・ダービー郡区の警察本部長は語った。
当局の発表によれば、犯行は40分以上に渡って行われ、犯人は強制性交などの容疑で逮捕されている。
ティモシー・ベルンハルト警視によると、車内の監視カメラの映像には他の乗客たちの姿もあったが、犯行を止める様子はなかった。ベルンハルトは何もしなかった乗客を非難し、誰かが「何かをすべきだった」と語った。
警察は、今回の性的嫌がらせと強制性交を目撃した乗客は、誰一人として警察にも通報しなかったと考えている。まずは、暴行の現場をスマホ撮影していた乗客を捜査している。傍観者たちを起訴するかどうかは、最終的には地元デラウェア郡地方検事局が決定する、とAP通信は伝えた。
「私たちが望むのは、誰もが犯罪に怒りを感じ、嫌悪感を抱き、公共交通機関をより安全なものにしようとすることだ」と、この路線を運行する南東ペンシルベニア交通局(SEPTA)の交通警察署長トーマス・J・ネステル3世は述べた。
何もしないのは例外的
AP通信による事件の詳細は以下の通り。
ネステルは18日の記者会見で、犯人の男は、電車が24以上の駅を通過する間、女性に嫌がらせと痴漢行為を続け、最終的にレイプしたと語った。
犯人の男と被害者の女性は10月13日の夜、ノースフィラデルフィアの同じ駅から電車に乗った。警察が男を女性から引き離したのは、この路線の終着駅だった。交通警察官は交通局職員から通報を受けて約3分以内に駆け付けた、と当局は述べた。
逮捕記録によれば、犯人の名はフィストン・ノイ(35歳)。強制性交と関連する複数の罪に問われている。
逮捕されたノイの宣誓供述書には、約40分の犯行の間、女性が繰り返しノイを押しのけようとしていたことを含めて、暴行についての詳細が記述されている。
ネステルは、この事件の目撃者の人数を明らかにしなかった。宣誓供述書にも、40分間の犯行の間、車内に何人の乗客がいたかは記載されていない。当局は車内の監視カメラの映像を公開していない。
「言えるのは、この女性が暴行されている現場に、人々が携帯電話のカメラを向けていたということだ」と、ネステルは言う。
性的暴力の防止を研究しているジョン・ジェイ刑事司法大学の心理学教授エリザベス・ジェリックは、その場に居合わせた人々には、物理的に止めに入ることには恐怖を感じたとしても、警察に通報することはできたはずだと言う。「事件の映像をもとにした最近の研究では、かなりひどい状況の場合、90%のケースで目撃者が行動を起こした。だから今回の事件で、誰もこの女性を助けるために行動しなかったことは、例外的といえる」