スティーブ・ジョブズが見通した未来、外した未来
4 Things Steve Jobs Was Right About, And 3 He Got Wrong
アップル社のCEOとして基調演説を行うスティーブ・ジョブズ(2002年) Lou Dematteis-REUTERS
<史上最高のテクノロジー予言者スティーブ・ジョブズの没後10年、彼が予想した未来はどの程度実現したのか。その一部を検証してみた>
今年の10月5日、アップルの共同創設者スティーブ・ジョブズがこの世を去って10年が過ぎた。ジョブズは、テクノロジーの将来を見通した史上最も偉大なビジョナリーの1人。彼が設立したアップルは現在、時価総額2兆ドルを超え、世界で最も価値のある企業となった。
ジョブズの偉業は疑いの余地がない。2011年10月5日に亡くなって以来、アップルは繁栄を続けている。株価は10年前の11倍以上に上昇した。
しかし、ジョブズの将来の予測は、その多くが実現したが、外れたケースもある。その両方のケースの主なものを紹介しよう。
リモート時代を先取り
ワールド・ワイド・ウェブの考案者であるティム・バーナーズ=リーがハイパーテキストを開発する数年前、1985年のプレイボーイ誌のインタビューで、ジョブズはこう語った。「ほとんどの人が自宅用にコンピュータを購入するとしたら、その理由として最も説得力があるのは、全国的な通信ネットワークにリンクできることだ」。
当時、コンピュータは主に仕事で使用されていたが、それすらも一般的ではなかったのに。
「自宅用にコンピュータを購入する主な理由は、自宅で仕事をしたい、または自分や子供のために教育用ソフトウェアを使いたい、ということだ。どちらかの理由でコンピュータの購入を正当化できない場合、他の唯一の考えられる理由は、単にコンピュータを使えるようになりたいということだ」と、ジョブズは言った。
「何かが起きていることはわかっているが、それが何であるかが正確にわからないので、学びたいというわけだ。でもそれは、いずれ変わるだろう。コンピュータはほとんどの家庭で不可欠の存在になる」
パソコンが日用品に
その1年前の1984年、ジョブズは子供が幼い頃からコンピュータを使うようになると予測し、ニューズウィークの特別版アクセス誌にこんな話をした。「あなたは10歳の時にコンピュータを手に入れ、何とか電源を入れる。すると、コンピュータが『私はどこにいるの?』と問いかけるので、『ここはカリフォルニアだよ』と教えてあげることになるだろう」
■情報過多
ユニバーサルな通信ネットワークへの接続がもたらした結果の1つは、多すぎる情報の負担だ。ジョブズはそれも予見していた。
「私たちは情報経済の世界に住んでいるが、情報社会に住んでいるとは思わない。人々は以前よりもものごとを考えなくなった。それは主にテレビのせいだ。読書をしなくなったし、あまりものを考えなくなっているのは確かだ」と、ジョブズは1996年にワイアード誌に語った。
私たちは、インターネットがクリックひとつでこれまで以上に多くの情報をもたらすものになることを予見したが、大小を問わず日常的な仕事をどれほどインターネットに依存するようになるかまでは完全に認識していなかった。
同じインタビューで、ジョブズはこう付け加えた。「だから、より多くの情報を得るためにウェブを使用する人はほとんどいないと思う。私たちはすでに情報過多の状態にある。インターネットが提供できる情報量に関わらず、ほとんどの人は消化できないほどたくさんの情報を受けとっている」