ミャンマーに厳しい議長声明を発表 ASEAN首脳会議 、ミャンマーは異例の欠席
オンライン形式で開催されたASEAN首脳会議。下段右から2番めのミャンマーの枠はずっと空席のままだった。Ain Bandial - REUTERS
<ミャンマー軍政の参加を拒否したASEAN。対話の扉は閉じられてはいないが......>
東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議が10月26日にオンラインで開催され、クーデターで民主政府から実権を奪取したミャンマー軍政に対し、市民への暴力や弾圧に懸念を表明するとともにASEAN特使の受け入れやアウン・サン・スー・チー氏らを含む全ての関係者との面会などを求める4月のASEAN臨時首脳会談で合意した「5項目合意」の履行を軍政に求める「議長声明」を発表した。
焦点となっていたミャンマーからの出席者は軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官の参加がASEANによって「拒否」されたため、代理としてASEANが求めた「非政治的な人物」としてミャンマー外務省高官の出席が見込まれていたが、26日ミャンマーは同会議に代表者の指名を通告せず最終的に欠席となった。
前例のない加盟国の欠席
オンラインで開催された首脳会議の様子を伝える映像では、議長国ブルネイなど発言する各国首脳を中心にその周囲に加盟国首脳が並んだが、ミャンマーだけは画面に国名だけが表示されるという異例の会議となった。
首脳会議に限らずASEANの一連の会議に加盟国が欠席するのは前例がなく極めて異例で、首脳会議の冒頭で発言した議長国のブルネイやASEAN事務局はミャンマーの欠席に関して一切コメントはしなかった。
ミャンマー代表抜きで発表された議長声明では「死者や暴力が報告されており、情勢に懸念を抱いている」と現在のミャンマーの状況への懸念を改めて表明して軍政に事態改善を求めた。
そのうえで4月24日にインドネシアの首都ジャカルタで開催されたASEAN臨時首脳会議で「ミャンマーの首脳格」として出席したミン・アウン・フライン国軍司令官を含めて全ての参加加盟国が合意した「5項目合意」にある「国民の利益を最優先とし平和的な解決を目指して関係者全員で建設的な話し合いを行う」「ASEAN特使の派遣を受け入れ関係者全員と面会すること」の履行をミャンマーに強く迫る内容となっている。
ミャンマー軍政はこれまでASEANが8月に特使として任命した議長国ブルネイのエルワン・ユソフ第2外相の訪問は認めるものの、スー・チー氏やウィン・ミン大統領など民主政府の幹部との面会は「公判中の身である」ことを理由に一斉認めない立場を示し、ASEAN特使のミャンマー訪問はこれまで実現していない。
さらにASEANや国連、欧米諸国が求めている軍政による暴力の即時停止に関して軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官は18日にテレビ演説して「暴力の悪化は軍に抵抗する勢力によるものであるのにそれを誰も止めようとしない」と反発していた。