男性だけのお客様、予約しても泊まれません...トルコ・ホテル業界の慣習が物議
宿泊拒否の理由を説明するよう予約者が求めると、ホテル側は「男性は騒ぎすぎて問題を起こすとみなされているため」と回答したという。性差別的な認識であるとみられるのに加え、OMAT誌は「このホテルはゲストに対し矛盾した態度を取っている」と問題点を指摘する。同ホテルはウェブサイト上で、立地がビーチのナイトクラブに近いことを強調し、クラブで楽しんだあとは「どうぞご自身の(宿泊室の)テラスとバスタブでパーティーを続けてください」と促している。
同様の宿泊ポリシー、トルコの高級ホテルでは一般的
男性客に対して厳しい予約ポリシーを設けているのは、このホテルに限った話ではない。女性の同伴のない男性のチェックインを認めないホテルは、トルコ国内で100軒を超える。宿泊に女性同伴を求める慣習が定着している国は、世界でも極めて例外的だ。
現地旅行業界に詳しいというある人物はニュージーランド・ヘラルド紙に対し、「トルコの高級ホテルのほとんどが似たようなポリシーを持っている」と明かす。同紙はロシア系のツアー会社が取りまとめた男性のみの宿泊を断るホテルのリストを入手している。その数は高級リゾートホテルを含め、トルコ国内で168軒を数える。
問題のリストには、世界的ホテルグループのヒルトン・ワールドワイドが展開する「ダブルツリーbyヒルトン」ブランドの2軒が含まれていた。ヒルトンはヘラルド紙に対し、当該の方針はヒルトンとしてのポリシーに反するものであり、2つのホテルの状況を調査すると回答した。リストはオンラインで一般にも公開されていたが、情報が最新ではなかったとして現在は公開を停止している。
ホテルの真意、同性愛差別ではなく女性保護か
このような対応は一見したところ、男性の同性愛者を避ける目的のようにもみられる。ニュージーランド・ヘラルド紙は、男性2名での宿泊を拒否されたゲストたちが「この不愉快な状況により、彼は同性愛の旅行者たちを差別するというホテルの方針なのだと考えるようになった」と述べ、ゲストの落胆した様子を伝えている。
一方で同紙は、トルコには一部保守的な地域があるものの、隣のシリアに比べればはるかにオープンな気風だとも解説する。とくに海外から多くのリゾート客を迎えているボドルムは、リベラルな価値観で有名だ。
トルコ在住でありLGBTQの活動家であるというある女性は、こうした宿泊ポリシーは同性愛と関係のないものだと説明している。現地では単身の男性客たちによる迷惑行動が問題化しており、各高級ホテルは対応に苦慮しているのだという。トルコはロシアやその他海外からの旅行先として人気であり、独身男性がロシア女性やその他海外からの女性を狙ってつきまとうケースが頻発している。これを避けるためにポリシーが作られるようになったのだという。
ホテル以外でも多くのバーが同様のポリシーを掲げており、女性の来店者に対するハラスメントを防いでいる。女性は「非常にアンチ・ゲイ的かつ偽善的」に感じられてしまう点を認めたうえで、それでもより良い手段のない現状は、このルールのおかげで平穏な時間を過ごせていると述べる。
女性が安心して滞在するための措置であるとの意見に納得する人々がいる一方で、男女差別的だとの批判も起きている。ある読者はOMAT誌の記事に対し、「独身男性は性犯罪の傾向があるとする認識を広め、さらには、こうした男性たちはポリシー不在の状況においては性犯罪に走るとの考えを暗に示すものだ」とコメントし、不快感を示した。
旅先で羽目を外しすぎたゲストたちが招いたルールのようだが、かえって性差別的だとして海外からの旅行客のあいだで困惑が広がっている。