混乱のミャンマー スー・チー氏は21日にも一部容疑で判決か
「国家統一政府(NUG)」が「武装による一斉蜂起」を呼びかけたことでミャンマーは事実上の内戦状態になっている。 CNA / YouTube
<反国軍勢力が武装蜂起するなか、民主派のトップは政治的に抹殺されるのか?>
ミャンマー軍政に身柄を拘束されて、複数の罪状で訴追、公判が続いている民主政府の指導者だったアウン・サン・スー・チー氏に対し、一部の容疑で早ければ9月21日にも判決が言い渡されることが分かった。
これはスー・チー氏の弁護団が明らかにしたもので、全ての容疑で起訴事実を否認しているスー・チー氏だが、軍政の主導で進められている裁判だけに判決公判では最高刑に近い量刑での「有罪判決」は確実視されている。
スー・チー氏の公判は休暇期間を除いて基本的に毎週月曜日と火曜日に開かれてきたが、9月13日の公判はスー・チー氏の体調不良のため、急きょ休廷となった。
コロナ禍の最中だけにスー・チー氏の健康状態が懸念され、さまざまな憶測が飛ぶ事態となったが、その後コロナ感染検査で陰性と判明。スー・チー氏は翌14日の公判には出廷したことから「健康不安」という国民の懸念はとりあえず払拭された形となった。
扇動容疑での判決か
スー・チー氏の弁護団の一人であるミン・ミン・ゾー弁護士は、14日の約30分間の公判で裁判官からスー・チー氏を含む3人の「被告」に対する刑法505条違反に関する判決を21日も言い渡すと通告を受けたことを地元マスコミなどに明らかにした。
刑法505条は「軍人や政府職員の動機、規律、健康、行動を妨害し、損害を与え軍人と政府に対する憎悪、不服従または不誠実を引き起こそうとする試み」という実にあいまいな条文で、検察側や裁判所側による恣意的運用が極めて可能な「悪名高い」条文となっている。
スー・チー氏はコロナ感染防止規律違反や贈賄、通信法違反、輸出入法違反、さらに国民に社会不安を煽った扇動容疑など複数の容疑で訴追を受けており、今回の判決はこのうち「扇動」を問われた容疑に対する判決とみられている。