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遺跡ストーンヘンジの大砂岩の一部は恐竜時代よりも古かった
ストーンヘンジの貴重な標本からストーンヘンジの岩の化学組成が調べられた danaibe12-iStock
<英ブライトン大学の研究チームは、CTスキャンやX線などを用いてストーンヘンジの標本を分析し、大砂岩の地質構造や化学組成について調べた...... >
ストーンヘンジは、イングランド南部で約4500年前の新石器時代に建造された環状列石(ストーンサークル)で、1986年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録された。
円陣状に立ち並ぶ巨大な大砂岩(サルセン石)のうち「ストーン58」と名付けられた巨石には、1958年の修復プロジェクトで、直径2.5センチの穴が3つ開けられ、金属棒が埋め込まれている。
その際、「ストーン58」から掘削された直径2.5センチ、長さ1.08メートルの円筒形の標本は、この補強作業を手がけたロバート・フィリップス氏に贈られ、フィリップ氏の退職に伴って一時米国へ渡ったが、2018年、イングランドで歴史的建造物を管理する政府系機関「イングリッシュ・ヘリテッジ」に研究目的で返還された。
大砂岩の99.7%は石英だった
英ブライトン大学の地理学者デービッド・ナッシュ教授らの研究チームは、この標本をもとにストーンヘンジにまつわる謎の解明に取り組んでいる。2020年7月に発表した研究論文では「大砂岩はストーンヘンジから北25キロのウィルトシャー州ウェストウッズから運ばれた」ことを明らかにした。
研究チームは、CTスキャンやX線、顕微鏡などを用いてこの標本をさらに詳しく分析し、大砂岩の地質構造や化学組成について調べた。一連の研究成果は、2021年8月4日にオープンアクセスジャーナル「プロスワン」で掲載されている。
これによると大砂岩の99.7%は石英であった。石英の結晶がモザイク状に組み合わさることで砂サイズの石英粒がしっかりと固まり、崩壊や侵食による影響を受けづらい組成となっている。
10億〜16億年前に形成されたものもあった
また、大砂岩を組成する石英粒には、恐竜時代より古いものも含まれていた。大砂岩の砂質堆積物は2300万〜6600万年前の古第三紀に堆積したが、標本のネオジム同位体比を分析したところ、その一部は6600万〜2億5200万年前の中生代の岩石から侵食したものとみられ、10億〜16億年前の中原生代に形成されたものもあったという。
研究論文の筆頭著者でもあるナッシュ教授は「この歴史的な遺跡の試料を研究する機会に恵まれるのは、科学者として非常にありがたい。ストーンヘンジは法的に厳しく保護されており、今日、このような試料を入手することは極めて困難だ」と感謝の意を述べている。