7000人もの医療関係者を五輪に確保し、「国民の重症者以外は自宅療養」の無責任
どこまでが中等症で、どこまでが重症かに関して、少なくとも東京都は「人工呼吸管理またはECMO を使用している患者」を重症患者とみなすと定義している。
7000人の医療従事者を東京五輪に確保
毎日新聞は今年7月23日付の記事<東京2020+1 医療従事者7000人>で「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は22日、大会に携わる医師や看護師などの医療従事者が約7000人になると明らかにした。当初計画では約1万人が必要だとしていたが、新型コロナウイルスの影響で逼迫(ひっぱく)する医療現場への配慮などから約3割削減した。選手向けの医療を中心に従事する」と報じている。
7月31日付の時事通信社は<「すでに医療崩壊」 治療、ワクチン、五輪派遣も―感染拡大で医療従事者悲痛>と報じている。
日本国民の中にコロナ患者が出ても入院できないどころか診断してもらう医師さえ見つからない現状の中で、東京五輪のためなら、日本のこの少ない医療資源の中から優先的に五輪医療従事者チームを7000人も確保するというのは、どういうことなのか?
政府への批判をかわし選挙を有利にするために東京五輪を強行した
7月31日、自民党の河村建夫議員(元官房長官)が「五輪がなかったら、国民の皆さんの不満はどんどんわれわれ政権が相手となる。厳しい選挙を戦わないといけなくなる」と語ったと共同通信が伝えている。
つまりマスコミを総動員して、国民に日本選手の活躍に熱狂させてコロナ患者のことを忘れさせ、内閣支持率を上げようという魂胆であることを、二階幹事長の側近である河村議員は正直に言ってしまったのだ。
日本は患者数が増えるのが嫌だからPCR検査を進めていない
現在、東京のPCR検査の陽性者率は20%を超えている。PCR検査数が少ないからだろう。
昨年7月、東京保険医協会のサイトに、NPO法人医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が<日本ではPCR検査がなぜ進まないのか>という論考を載せておられる。そこでは「日本がPCR検査を絞ってきて、患者発見数を少なくさせている経緯」が詳細に観察されている。
また昨年4月には、さいたま市の西田道弘保健所長が記者団の取材に「病院があふれるのが嫌で(検査対象の選定を)厳しめにやっていた」と明らかにしたと日経新聞が報道している。
日本も「方艙病院」の設営を
このたびの菅首相の「中等症までは自宅療養を」という指針は、「入院患者が増えると病床使用率が高くなり、医療の逼迫度が数値として高くなるので、入院患者を減らして緊急事態宣言を取り消そうという姑息な魂胆だ」とも言える。