7000人もの医療関係者を五輪に確保し、「国民の重症者以外は自宅療養」の無責任
中国では無症状感染者でさえ医療機関に入れて隔離観察を行っているというのに、いよいよ酸素マスクや人工呼吸器を付けなければならないほど重症化するまで(東京都ではECMOを使う寸前まで)「放置する」政策を日本は取っているのだ。
菅政権は尾身会長の「五輪開催を懸念する発言」を「越権」と位置付けて退け、何が何でも五輪開催へと突撃していった。
五輪を開催する国家としての圧倒的なコロナ対策をした上での強行ならば、「国民の命を第一に考えている」という「絵空事」も多少の信憑性を帯びてくるだろうが、医療資源もエネルギーも心までも、すべて選挙のために五輪に捧げているのだから、国民は納得しようもないのではないか。
ひとたび失った命は二度と戻ってはこない。しかし優秀な日本選手ならば、もし来年まで五輪開催を延期していたとしても、きっと輝かしい活躍をしてくれたに違いない。
あの第二次世界大戦へと突入した時の考え方と日本政府は何も変わっていない。
せめて今からでも「方艙病院」の設営を考えてはどうなのだろうか。
本来ならば選手村などを建設するゆとりがあるのならば、そこを「方艙病院」に置き換えるべきだっただろう。そうすれば、どれだけ失わなくていい日本国民の命を救えたかしれない。
そのような英断ができる政権こそが未来永劫に人類史上で輝き続けただろう。
日本は又とないチャンスを失った。
全世界のコロナ患者は2億人を超えた。
多くの犠牲者を出した「終戦の日」が又やってくる。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。
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