インフレへの「軽視」と「慢心」こそが70年代型インフレ危機の再来を招く
70s-Style Inflation Redux?
それでも以前からFRB議長の席を狙うサマーズは、今のFRBはインフレ懸念への対応が遅いと批判し続けている。当分の間はゼロ金利でいけるというFRB当局者らの見通しについて、彼は5月に、「たわごと」に近いと述べた。
「以前のFRBならパーティーが盛り上がる前に(酒が入った)パンチボウルを片付けたが、今は酔っぱらいがうろつきだすまで片付けない」
ノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、この主張は大げさだと考える。彼のみるところ、インフレ懸念に対処するには今のFRBのほうがはるかに有利な位置にある。金利はゼロに近いから上がるしかなく、インフレの兆候にも小幅の利上げで対処できる可能性があるという。
「ゼロ金利ゆえにFRBは強大な力を持つ。このようにインフレを抑えられる立場にいたことはない」と、スティグリッツは言う。
世界経済はインフレという時限爆弾を本当に抱えているのか。その点を見極めるには、時計がもう少し進むのを待つしかないのかもしれない。
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