最新記事

中国

中国金メダル38でもなお「発展途上国」が鮮明に

2021年8月11日(水)19時03分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
TOKYO2020の金メダル

TOKYO2020の金メダル Ueslei Marcelino-REUTERS

中国は金メダル38で総メダル数88と、アメリカに次ぐ成績を収めたが、その競技種目を詳細に見ることによって「発展途上国」であることが鮮明に浮かび上がった。日本でコロナから目をそらさせるために五輪開催を強行できたのは、日本が発展途上国ではないことも逆に見えてきた。

ウェイボーで「最初に流れるのは中国の国歌で、最初に掲げるのは中国の国旗だ!」

7月23日、東京五輪の開会式が始まり、中国人選手が入場すると、中国版ツイッターのウェイボーには「この会場に最初に流れるのは中国の国歌で、最初に掲げるのは中国の国旗だ!」というメッセージが流れ、それが繰り返しリツイートされた。

案の定7月24日、最初に金メダルを獲ったのは中国の楊倩選手(21)で、種目は射撃女子10mエアライフル個人だった

すると中国のネットは燃え上がり、「中国の勝利」を確信している熱気に包まれた。

淡々とメダルランキングを伝えるニュース番組

一方、ニュース番組では、実に淡々とメダルランキングとメダルを獲得した選手の模様を短く伝えるに留まっていた。

なぜなら中国の中央テレビ局CCTVには合計20チャンネルに近い分類があって、「総合(CCTV-1、ニュース)、財経(CCTV-2)、総芸(CCTV-3、バラエティー)、中文国際(CCTV-4)、体育(CCTV-5)、映画(CCTV-6)、国防軍事(CCTV-7)、ドラマ(CCTV-8)・・・」などに分かれているからだ。

特にオリンピック期間は、「CCTV-5」にさらに「CCTV-5+」という「体育競技」チャンネルが設けられているため、オリンピックの競技関係はニュース番組の中に割り込んでこない。

日本のように、ニュースを観ようと思ってもほとんどのチャンネルがまるで電波ジャックされたように、強制的にオリンピック競技を観させられるというような状況はない。観たい人だけが選局して観ればいいようになっている。

そのためCCTV-1のニュース番組に割り込んでくることはなく、せいぜいCCTV-4 の国際ニュースで報じられる程度だ。

この国際ニュースでは「直通東京」という特番が組まれていて、東京五輪開催中は競技の結果を伝えるのだが、日本のように「絶叫型」ではなく、淡々とメダルランキングと各国の金メダルの様子を伝えるのが印象的だった。

中国の金メダル獲得数は、閉会式前夜まで、ほとんど1位を独占し続けており、最後の一日でアメリカに抜かれ、2位に退いた。金メダルはアメリカ39に対して中国38。総メダル数はアメリカ113に対して中国88だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米2月総合PMI、1年5カ月ぶり低水準 トランプ政

ワールド

ロシア、ウクライナ復興に凍結資産活用で合意も 和平

ビジネス

AIが投資家の反応加速、政策伝達への影響不明=ジェ

ワールド

不法移民3.8万人強制送還、トランプ氏就任から1カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中