【動画】マスク着用の指示などでCAへの暴力急増、護身術講座が再開
オクラホマシティの地元紙によると、デルタ航空側は当該人物が扉を開けようとした事実については否定しているが、機内で言い争いがあったことは認めている。地元紙は、この人物はオクラホマシティで警察当局に身柄を拘束されたと報じている。
こうした暴力案件が発生した場合、CAから連邦航空局(FAA)に報告がなされる。FAAが発表している数字によると、今年に入ってから8月8日までの報告数は3889件となっており、マスクに関連したものは2867件。FAAがそのうち実際に調査を行った件数は682件に上っている。1995年から2020年までで年間最多件数だったのは2004年の310件であり、すでに倍以上だ。なお、2020年は183件だった。
FAAは、乗客による粗暴で危険な行為には一切容赦しない「ゼロ・トレランス」の方針を掲げている。6月には、乗務員に暴力を振るった人物やマスク着用を拒否した人物など8人に対し、9000~2万2000ドル(約10万~240万円)の民事制裁金を要求している。
「死ぬ可能性もある。自分の身を守れ」
このような現状を受け、米運輸保安庁(TSA)は6月、CAやパイロットを対象とした護身術のトレーニングを7月に再開すると発表した。プログラムは以前も行われていたのだが、新型コロナウイルスの流行で一時中断されていた。
4時間のプログラムの内容は、指示に従わない乗客への対応術のほか、航空機という環境内で攻撃された場合に、どう身を守るかといった護身術などだ。旅客機や貨物機の乗組員が攻撃された場合に備えたもので、現役の連邦航空保安官がインストラクターとなる。
トレーニングを取材した米CNNによると、インストラクターはトレーニングを受けたCAらに対し、「死ぬ可能性もある。何としてでも自分の身を守らなくてはだめだ」と説明。「最後の手段」として、攻撃者の目を狙うテクニックなどを教えていたという。
米国内の航空会社の乗組員であれば、無料で参加できる。全米24カ所で実施しており、CNNによると、秋までに数百人が受講する予定だ。