最新記事

暴力行為

【動画】マスク着用の指示などでCAへの暴力急増、護身術講座が再開

2021年8月20日(金)20時00分
松丸さとみ

オクラホマシティの地元紙によると、デルタ航空側は当該人物が扉を開けようとした事実については否定しているが、機内で言い争いがあったことは認めている。地元紙は、この人物はオクラホマシティで警察当局に身柄を拘束されたと報じている。

こうした暴力案件が発生した場合、CAから連邦航空局(FAA)に報告がなされる。FAAが発表している数字によると、今年に入ってから8月8日までの報告数は3889件となっており、マスクに関連したものは2867件。FAAがそのうち実際に調査を行った件数は682件に上っている。1995年から2020年までで年間最多件数だったのは2004年の310件であり、すでに倍以上だ。なお、2020年は183件だった。

FAAは、乗客による粗暴で危険な行為には一切容赦しない「ゼロ・トレランス」の方針を掲げている。6月には、乗務員に暴力を振るった人物やマスク着用を拒否した人物など8人に対し、9000~2万2000ドル(約10万~240万円)の民事制裁金を要求している

「死ぬ可能性もある。自分の身を守れ」

このような現状を受け、米運輸保安庁(TSA)は6月、CAやパイロットを対象とした護身術のトレーニングを7月に再開すると発表した。プログラムは以前も行われていたのだが、新型コロナウイルスの流行で一時中断されていた。

4時間のプログラムの内容は、指示に従わない乗客への対応術のほか、航空機という環境内で攻撃された場合に、どう身を守るかといった護身術などだ。旅客機や貨物機の乗組員が攻撃された場合に備えたもので、現役の連邦航空保安官がインストラクターとなる。

トレーニングを取材した米CNNによると、インストラクターはトレーニングを受けたCAらに対し、「死ぬ可能性もある。何としてでも自分の身を守らなくてはだめだ」と説明。「最後の手段」として、攻撃者の目を狙うテクニックなどを教えていたという。

米国内の航空会社の乗組員であれば、無料で参加できる。全米24カ所で実施しており、CNNによると、秋までに数百人が受講する予定だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中