最新記事

米中対立

東京五輪でも米中「覇権争い」 金メダル競争は中国有利?

Can the US Beat China in Medals Race at Olympics? China Takes Early Lead

2021年7月26日(月)15時45分
スコット・マクドナルド
テコンドーのメダリスト

戦いのゴングは鳴った(左から、テコンドー男子68キロ級で銅メダルを獲得した中国の趙帥と、女子57キロ級で金メダルを取ったアメリカのアナスタシヤ・ゾロティック) Murad Sezer-REUTERS

<貿易でも領土でも人権でもぶつかり合いながらトップの座を争う2つの超大国。オリンピックも例外ではない>

米中が相まみえれば競争に火がつく──当節、それは避けられない現実だ。貿易でも領有権でも新型コロナウイルスの起源でも、2つの超大国は激しくぶつかり合ってきた。スポーツも例外ではない。来年北京で開催予定の冬季五輪について、中国の人権問題を理由にボイコットすべきだという声もアメリカにはある。

コロナ禍で1年遅れで開催された東京五輪(8月8日まで)も同じだ。メダルの総獲得数で、米中はトップを争っている。

まず先に金メダル獲得数およびメダルの総獲得数でリードしたのは中国だ。以下のグラフは、東京五輪開催中の米中、開催国の日本、イギリス、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の金メダル獲得数の予測だ。

numberofmedalschart.jpeg

通算の獲得メダル数では断トツ1位のアメリカ

さて、近代五輪の夏季大会で通算1000個を超える金メダルを獲得しているのは世界を見てもアメリカだけだ。前回2016年のリオデジャネイロ五輪までで、アメリカは合計1022個の金メダルを獲得している。これは2位のロシア(旧ソ連を含む)と3位のドイツ(旧東西ドイツを含む)の合計獲得数を上回る。

アメリカは過去2大会、金メダル獲得数でも総メダル獲得数でも1位だった。前回のリオ五輪でアメリカに次ぐ2位は中国だったがその差は大きく、総メダル獲得数で50個、金メダルでは20個だった。

しかし2012年ロンドン五輪では、その差は金メダルで8個、総メダル数で13個まで縮まった。

さらにその前、2008年に北京で開催された五輪では、中国が48個の金メダルを獲得したのに対し、アメリカの獲得数は36個で中国に負けた。しかもアメリカの金メダルのうち、8個は競泳のマイケル・フェルプスが獲得したものだ。

東京五輪における米中の勝負の行方は予断を許さない。7月26日午後2時の時点で総メダル獲得数は13対12、金メダルは6対5で中国がアメリカを一歩リードしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日仏、円滑化協定締結に向けた協議開始で合意 パリで

ワールド

NATO、加盟国へのロシアのハイブリッド攻撃を「深

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比1.6%増 予想と一

ワールド

暴力的な抗議は容認されず、バイデン氏 米大学の反戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中