バッハ会長の頭には「チャイニーズ・ピープル」しかない
東京大会開催と習近平の利害の因果関係
1.仮に東京大会が開催されなかったとしよう。開催されない理由は「コロナ感染が収束していないから」以外の何物でもない。
2.コロナで開催できなかったのだとすると、その責任と非難の矛先はコロナ感染の発祥地である中国に向く。何といっても習近平はWHOのテドロスと組んで、パンデミック宣言を遅らせた確信犯だからだ。あのときいち早くコロナの「人-人」感染を認め、パンデミック宣言をしていれば、武漢から外部への人流を抑えることができたはずだから、コロナはここまで全世界に広がらなかったかもしれない。となると、全人類は団結して習近平を非難することになるだろう。習近平として、それだけは避けたい。
3.また、東京大会が開催されなかったとなると、日本はアメリカに同調して「北京冬季大会ボイコット」を叫び始めるかもしれない。習近平としては国家と一党支配体制の威信にかけて、それだけは絶対に避けたい。2022年は、何といっても第20回党大会がある年で、習近平はここで中共中央総書記のポストを続投することを決定しなければならないのだから。
4.そこで仲の良いテドロスに呼び掛けて「コロナ感染の程度は、東京大会を開催するのに差し支えない」というメッセージを出してもらう。バッハは「WHOが阻止していないので、東京大会を開催しても構わない」と言うことが可能になる。
5.習近平はバッハとも「仲が良い」ので、「東京大会を成功させよう」と呼びかけることができる。
6.結果、習近平は「東京大会開催賛成!」と意思表示をする、という論理だ。
おおむね以上が「習近平が東京大会開催を支持する理由」であり因果関係である。
当然、莫大なチャイナ・マネーが、さまざまな形を取って、「仲の良い二人」に流れていることは言を俟たない。
日本人は習近平が成功するために犠牲になり、日本政府は一党支配体制維持のために貢献している
この構図と因果関係を理解することができれば、日本人の多くは「コロナ下での東京大会開催」に反対したはずだ。
それなのに、それを直視してくれる日本人は多くはなかった。
かつて天安門事件後の対中経済封鎖を、強引に解除させたのは日本であることは、もう繰り返すまでもないだろう。
あのときは中国共産党による一党支配体制を崩壊させることができる唯一のチャンスだった。だというのに、日本は「中国を孤立させてはならない」として中国に「温かな手」を差し伸べ、こんにちのような巨大な力を持つ中国を「一生懸命に」育ててきた。