米中貿易額の激増:垣間見えるバイデン政権の本性
これは何を意味しているのだろうか?
アメリカの貿易高が急増した理由
アメリカの対中貿易高だけが突出して大きくなっている理由として、一つには2020年1月15日に発表された米中貿易に関する「第一段階合意」(合意)があることは考えられる。
しかし「合意」は主としてアメリカが中国に対して「米国産の○○を購入しろ」ということを要求するものであって、決して「アメリカが中国産の●●を購入します」ということを中国に対して誓う性格のものではない。
だというのに、図1から明らかなように、中国側から見た対米輸出は、輸入よりも遥かに大きくなっている。しがたって、アメリカが突出している理由に「合意」があるとは考えにくい。アメリカは中国からの物資をより多く受け入れ、購入しているということになる。
中国にとってはなんと「喜ばしいこと」であろうか。
この増加ぶりの要因の一つに、バイデン政権に入ってからワクチン接種が進み、アメリカ経済が回復し始めたことも考えられるが、しかしそれにしてもトランプ政権であった2020年と、バイデン政権に入った2021年で、「増加率が61.8%も跳ね上がった」ことは、ワクチンが効いてきたからということだけでは説明しにくい。
もし、バイデン政権が本気で対中強硬を実施しようと思うのなら、輸入にストップを掛けることだってできたはずだ。しかし、そのようなことをした形跡は全くない。
現実は、勇ましい言葉とは裏腹なのである。行動を伴っていない。
インド太平洋QUAD(日米豪印)枠組みはどこに行ったのか?
モリソン首相になり、コロナ発祥の原因調査を独自で行うなどの言動により、中国とは縁を切ったような仲になってしまったと思われるオーストラリアだが、貿易額は32%も増加している。平均増加率よりは小さいので、まあ、それほど大きな貢献をしているとは思えないものの、なかなかに無視できない。
中国とは国境紛争をしているので、アメリカ寄りと思われるインドも、絶対額はそもそも小さいものの、増加率となると63.30%と、どの国よりもダントツに大きい。
アメリカと連携しながら民主主義価値観を標榜する「西側諸国」の代表であるようなイギリスやカナダも、その絶対額はEU諸国の中の一つ同様に大きくはないものの、増加率ときたら、アメリカに劣らず大きい。