最新記事

英王室

ダイアナ元妃は騙され利用された? 捏造がなくとも取材を受けたと元BBC記者は反論

Fake Documents Had 'No Bearing' on Princess Diana Giving BBC Interview

2021年5月21日(金)19時01分
マリー・エレン・カナソーラ
故ダイアナ妃(1990年11月、東京)

ダイアナ元妃(1990年11月、東京) Kimimasa Mayama-REUTERS

<「この結婚には3人が関わっている」など、衝撃的な発言で世界の注目を集めた95年のインタビューをめぐる大問題が浮上>

英BBCは2021年5月20日、故ダイアナ元妃が1995年に出演したインタビュー番組に関する独立調査の結果を発表した。元妃をインタビューしたBBCニュースの記者(調査時は宗教担当編集長だったが、2021年5月中旬に退社)マーティン・バシールは、偽造した書類やウソの情報を使って、元妃にインタビューを受けるようそそのかしたという。

このインタビューで元妃は数々の爆弾発言を行って世界中から注目を浴び、王室やチャールズ皇太子との関係にも影響したとされている。AP通信によれば今回の調査により、バシールが倫理規定に反した方法を使って、元妃がインタビューに応じるよう仕向けたことが明らかになったという。

BBCは2020年11月、元最高裁判事のジョン・ダイソン卿を任命し、ダイアナ元妃に対するインタビューについて新たに独立調査を行うと発表していた。

きっかけは、ダイアナ元妃の弟であるスペンサー伯爵が、バシールは偽造文書をはじめとする不正なやり方を用いて、元妃がインタビューに応じるよう仕向けたと再び主張したことだ。バシールは2021年5月14日、新型コロナウイルスと心臓手術による合併症の治療を理由に、BBCを退社した。

偽造書類は元妃の決断に影響した?

スペンサー伯爵の主張によれば、バシールはダイアナ元妃の説得にあたって、元妃の個人秘書と別の王室職員が、元妃の監視に対する見返りとして金銭を受け取っていたという内容の銀行明細書を偽造して使ったという。

バシールはさらに王室に関するウソを捏造し、元妃に対する陰謀が企てられていると述べて、元妃を説得しようとしたと、スペンサー伯爵は主張している。

これに対してバシールは、銀行明細書の偽造は「愚かな行動だった」と認め、遺憾の意を示した。ただ、偽造した書類が元妃のインタビューに何らかの影響を及ぼしたことはないと主張。自らの行動と、「インタビューに応じるという元妃自身の決断とのあいだには何の関係もない」と述べた。

1995年に放送された報道番組「パノラマ」のインタビューは、ダイアナ元妃が「この結婚には3人の人間が関わっている」と語ったことで有名だ。

この発言は、チャールズ皇太子とカミラ・パーカー・ボウルズ(現コーンウォール公爵夫人)との関係を示唆したものだった。当時別居状態にあった皇太子との関係について赤裸々に語ったこのインタビューは、2300万人が視聴し、王室に衝撃を与えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中