世界各地にひっそりと繁茂する「ヘンな生態」の植物たち
Plants Around the World
04:ニガヨモギ
フランス
独特の匂いと苦味がある薬草で、古くからさまざまな用途に利用されてきた。1世紀にはネズミが写本をかじるのを防ぐため、この草のエキスを混ぜたインクが使用された。この草を主原料とするリキュール、アブサンは、もともと解熱や虫除けの薬として売られていた。
05:アロエ・ディコトマ
ナミビア
世界最大級のアロエ。乾燥に強く砂漠でも育つ。狩猟採集民が毒矢を入れる矢筒作りに木を使うため、「矢筒の木」とも呼ばれる。干ばつが長引くと葉を落としてエネルギーを温存するサバイバル術を持つ。
06:マンドレイク
イタリア
地中海地方に分布する毒草。葉の中央に釣り鐘状の花が咲き、小さな実を付ける。古くから呪術や錬金術に使われ、根が人の形に似ていることから引き抜くと死ぬなどと言い伝えられてきた。数種のアルカロイドを含み、催眠や鎮痛作用があるほか幻覚・幻聴を引き起こし、多用すると昏睡状態に陥り死に至ることもある。
07:パピルス(カミガヤツリ)
エジプト
中・東部アフリカの湖畔や河畔の浅瀬に育つ水草。茎は5メートルもの高さに伸び、その頂に花序がある。花序枝が扇状に広がる姿は優美で繊細。古代エジプト文明には不可欠の植物で、ロープや生活雑貨、小舟など幅広い用途に利用された。茎の内部の白い髄は、900年頃までこの地方では唯一の紙の材料だった。