バイデン政権も「中国への強硬姿勢は正しい」と、脱中国に挑む
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この疑問をぶつけると、バイデン政権のNSC高官は言ったものだ。「そんなことは全て、こちらも考慮に入れている」と。
新型コロナウイルスはどこから来たかという問題も、トランプ政権の残した厄介な置き土産の1つだ。ポンペオはやはり退任間際に、あれが武漢ウイルス研究所から流出した可能性に改めて言及し、19年秋の段階で同研究所職員の数名がよく似た症状を示していたと語っている。
WHO(世界保健機関)の調査団が武漢に入ったのは今年1月14日のこと。周知のとおり、トランプはWHOの「中国びいき」に反発して脱退を通告したが、バイデンは就任直後に脱退を撤回している。アメリカが国際機関に復帰する姿勢を示す象徴的な動きの1つだった。
ところがその後、WHOは醜態をさらし、バイデン政権を困らせた。WHOの調査団は重要なデータを目にすることもできずに「調査」を終え、ウイルスが武漢研究所から流出した可能性を否定し、一方で輸入品の冷凍食品を介してウイルスが輸入された可能性も否定した。
WHOの拙速な調査と、その後の記者会見は大失敗だった。サリバンは、バイデン政権がWHOの結論を疑問視しており、感染発生の経緯に関するさらなるデータの提供を中国側に求めるとの声明を出した。これではポンペオ時代と変わらない。バイデン自身も、WHOの調査について問われた時は素っ気なく「必要なのは事実だ」と答えている。
今はこの2つの論争の陰に隠れているが、もっと深刻な問題がある。まずは中国とのデカップリング(経済関係の切り離し)をどこまで続けるかという問題だ。
トランプは在任中、経済面の中国離れを進めていた。新型コロナの流行をきっかけに、マスクのような個人用防護具を中国で製造せず、国内生産に戻すよう(3M社などの)米企業に要求した。だが多国籍企業を中国から引き離す取り組みはほとんど実を結ばず、効果もなかった。
厳しい対中姿勢を維持
連邦議会は19年に、中国製の機器やソフトウエアを調達網から排除するようアメリカの軍事・通信会社に求める法律を成立させた。しかし中国製機器の除外は政府の想定した以上に困難で、思惑どおりには進んでいない。また、中国排除はさまざまな重要産業に損失をもたらす。米コンサルティング会社ローディアム・グループの最近の調査では、中国市場を失えば、アメリカの半導体産業の年間売り上げは少なくとも540億ドルも減少すると推定されている。