バイデン政権も「中国への強硬姿勢は正しい」と、脱中国に挑む
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「民意を反映する政治センター」によると、テレビ、音楽、映画業界はバイデン陣営に合計1900万ドルを寄付したが、トランプ陣営への献金は1000万ドルにとどまったという。
以前から中国進出に強い関心を抱いてきた各社は、「究極の競争」なるものがどう定義されるかに注目している。「誰も穏和な戦略的関与の時期に戻れるなんて甘いことは考えていない」と指摘するのはランド研究所の東アジアを専門とする政治学者スコット・ハロルドだ。「しかしトランプよりは対決的でなくなるよう、圧力が確かにかかる」
調整努力は容易でないということは既に明白だ。トランプ政権は末期に厄介な問題の火に油を注いだ。バイデンの就任前日の1月19日、当時のマイク・ポンペオ国務長官は中国のウイグル人弾圧を「ジェノサイド(集団虐殺)と人道に対する罪」と断言している。
これで米中関係は天安門事件以来で最悪の事態となった。バイデンの外交チームを支えるジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、カート・キャンベル国家安全保障委員会(NSC)インド太平洋調整官、および国務長官のブリンケンは、あのタイミングでのポンペオの発言に激怒したと伝えられる。
ウイグル人の強制収容が国際法上のジェノサイドに相当するか否かについては、国際社会でも意見が割れている。バイデン政権は独自の判断を下すつもりでいたが、ポンペオに先を越された。これをすぐにひっくり返せば、中国に対し「弱腰」だと非難されかねない。それでブリンケンは就任早々、やむなくポンペオ発言に同意する旨を述べた。
脱中国化のハードルは高い
その発言は民主党の主要な支持層の一部で微妙な反応を招いた。数十年前から親中国の企業各社は歴代の米政権に対して、人権問題を棚上げするようにとロビー活動を続けてきた。人権に敏感なオバマ政権になっても、当時のヒラリー・クリントン国務長官は、中国との緊急性の高い問題を考慮するに当たって「人権問題が障害となることはない」と公言していた。
だが時代は変わった。あるウォール街の大手投資銀行のロビイストは本誌にこう語った。「(バイデンが)どの程度まで人権を重視するつもりかは不明だが、以前より重く見るだろうということは誰の目にも明らかになってきた」。ちなみにサリバンやブリンケン、キャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表など、対中政策の要となる人物の多くはオバマ政権でも働いた経験がある。
あのポンペオ発言を撤回しない限り、バイデン政権は「ジェノサイド」という語に縛られる。ウォール街のあるロビイストは匿名を条件にこう言った。「他国の政府を『ジェノサイド』で告発した以上、何もしないではいられない。追加の経済制裁を科すのか? それでも中国の報復はないと思うのか? それではトランプ時代と同じではないか?」