バイデン政権も「中国への強硬姿勢は正しい」と、脱中国に挑む
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政権内外の多くの関係者への取材で明らかになったのは、現時点では決まっていないという事実だ。ある国防総省高官の言葉を借りれば、まだ「この作業は進行中」なのだ。
無理もない。今の中国に立ち向かうことを考えれば、旧ソ連と対峙した冷戦などは楽なものだったと思えてくる。中国の経済力は当時のソ連とは比較にならないほど巨大だし、技術力も高い。EUは昨年12月、バイデン政権移行チームの制止を振り切って、中国政府との投資協定の大筋合意を取りまとめた。なぜなら中国はあと20年もすれば世界最大の経済大国となるだろうし、人工知能(AI)から量子コンピューターに至るまでの主要技術セクターで世界をリードする意思を公然と表明しているからだ。
一方で中国は人民解放軍の拡大・現代化を進め、国防総省によれば、インド太平洋地域では「(アメリカと)ほぼ拮抗する」までになっている。冷戦絶頂期のソ連に比べると中国の持つ核弾頭数ははるかに少なく、核の脅威はそれほど深刻ではないだろう。だが経済的に成功し、技術面でも優れ、世界制覇の野心を抱いている中国はかつてのソ連以上に手ごわい相手だ。
国防総省は既に、アメリカが軍事力で中国の後塵を拝する事態を懸念している。前統合参謀本部議長のジョセフ・ダンフォードは在任時、議会で「軌道修正しなければ、あと数年で中国に対するわが国の優位性は質的にも量的にも失われる」と述べた。オバマ政権で国防次官を務めたミシェル・フロノイも、「米軍がまだ備えていない新しい技術や能力に多額の投資を行っていく必要がある」と指摘している。
極超音速ミサイルに対する防衛網(もしも台湾をめぐる紛争が起きれば死活的に重要だ)の構築や、AI兵器の戦闘能力をどこまで向上させるかなど、問題は多々ある。上院軍事委員会のスタッフディレクターを務めた軍事評論家クリスチャン・ブローズによれば、これからのインテリジェント・マシン(AIなどの技術を搭載した機械)には戦場での敵味方識別能力を含め、殺人以外のほとんどの行為が求められる。
バイデン自身の言を借りれば、アメリカは「(中国と)究極の競争をするが、紛争をやる必要はない」。バイデンは「国際社会のルールにのっとる」とも述べ、トランプ流の手法からは距離を置いた。しかし新大統領は、こと対中政策に関しては難しい立場にある。前政権の姿勢を原則として踏襲しつつ、選挙で支持してくれた大口献金者にも配慮しなければならないからだ。
民主党支持者には、過去4年間を帳消しにしたい人もいる。彼らは政府が中国の「平和な台頭」を語った日々を懐かしがる。米中で閣僚レベルの懇談会を年2回開くというジョージ・W・ブッシュ政権で始まった米中戦略経済対話のような関係を回復したい。オバマ政権も、その対話路線を継続した。それは共和党も民主党もそろってバラ色のレンズで中国を見つめていた時代だ。
民意に応える政権運営とは
バイデン陣営への大口献金者といえばウォール街、多国籍企業の経営幹部、IT大手、ハリウッドの映画界などだろう。例えば、JPモルガンとバンク・オブ・アメリカでは合計7000人以上が大統領選で寄付をしているが、その8割以上がバイデン支持で、総額20万ドルを超えた。グーグルでは6900人、うち97%がバイデン支持だった。アマゾンは1万人で80%、ディズニーは4100人で84%という具合だ。