心臓発作の再発を恐れて性行為を控えると、逆に死亡率が高まる:学術研究
DON’T BE AFRAID TO HAVE SEX
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<心臓発作を経験した人でも、セックスをタブー視するのはむしろ危険との調査結果が>
心臓発作の経験がある人の場合、再び発作が起きるのではないかという不安から、セックスを控えることが多いかもしれない。しかし、2020年9月に学術誌「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・プリベンティブ・カーディオロジー」に発表された研究は、異なる可能性を指摘している。
論文著者らは、1992~93年にかけて初めて心臓発作を経験した495人を調査。これらの被験者たちは最初の心臓発作後と、その3~6カ月後の2度にわたって面談を受け、そこで最初の心臓発作の前後にどれくらいの頻度でセックスをしていたかを質問された。なお自慰行為など、セックス以外の性行為は調査の対象外とされた。
最初の面談を受けた時は全員が65歳未満で、平均年齢は53歳だった。また面談の22年後には、彼らのうち43%が亡くなっていた。
このインタビュー調査で分かったのは、心臓発作の後に以前と同じか、より多くのセックスをしていた人は、減らすかやめた人に比べて死亡率が低かったということだ。セックスの回数が多かった人たちは、主に癌など、心血管疾患とは関係のない疾患の罹患率が低かったためだ。
心臓発作を起こす以前に、少なくとも週1回セックスをしていた人は73%を占めたが、3~6カ月後には60%にとどまった。「心臓発作後のセックスの頻度が、以前と同じか増えた」という患者は53 %で、残りの患者は、セックスの回数を減らすか、完全にやめていた。
セックスは健康の指標
以前と同じか、より多くのセックスをしていた人は、セックスをやめるか減らした人に比べて年齢が若く、自らの健康状態を良好と認識し、鬱病のリスクが低く、また社会経済的地位が高い傾向にあった。
論文の共著者で、テルアビブ大学のヤリブ・ガーバー教授は、セックスは健康の指標であり、心臓発作後すぐにセックスを再開することは、患者が自分自身を健康で、機能的で、若く、エネルギッシュであると見なすかどうかに影響を及ぼす可能性があると指摘している。
「セックスの頻度を維持または増加させた群で延命効果が観察された理由として、それに伴う体力の向上や、配偶者との関係の強化、また、心臓発作直後のショックから数カ月以内に『立ち直る』精神的能力を備えていたことなどが考えられる」とガーバーは話す。一方、自らの健康状態に自信がない患者は、セックスを再開したり、癌検診などを受けに行ったりする傾向が低い可能性がある、とガーバーは指摘する。