迫る米軍のアフガン撤退 40年戦争の「正しい」終わらせ方
Leave Afghanistan As Planned
つまり、米軍撤退後にさらなる暴力が発生する可能性は極めて高い。だからこそ、アメリカはタリバンに米軍撤退後の停戦を受け入れさせるため、関係各国(特にタリバンの最大の後援者であるパキスタンと、アメリカと対立する中国、イラン、ロシア)や国際援助団体を巻き込んで外交的な全面攻勢に出るべきだ。
皮肉な話だが、アメリカに有利な要素もある。地域の大国の多くはアメリカのライバルであり、米軍撤退を歓迎するだろうが、撤退による情勢のさらなる不安定化は彼らの利益にならない。
そのため、これらの国々もアメリカと協力してタリバンに停戦をのませ、彼らが恐れる不安定化の悪影響(暴力の激化、難民の増加、麻薬取引の拡大、投資環境の悪化)を減らしたいと考えるはずだ。同盟国かライバル国かを問わず、共通の利益を追求する多国間外交を好むバイデン政権にとっても、この戦略は理にかなっている。
アメリカは残された交渉材料を最大限に活用すべきだ。例えば、タリバンが停戦を約束するまで、和平合意で決まった履行義務の残り部分の遂行を拒否する。タリバンが暴力を控え、交渉を継続しようとしなければ、将来の援助凍結をちらつかせるのも手だ。
望ましくないがましな道
アメリカはともかく強いメッセージを送るべきだ。米軍撤退後も停戦維持を求める国際世論を拒否すれば、タリバンが望む国際的な「承認」と正統性の獲得も危ういと強調すべきだ。
確かに米軍が撤退すれば、バイデン政権が最大の目標の1つに掲げるアフガニスタンでの対テロ作戦能力の維持が難しくなる。それでも、アメリカにはまだ選択肢がある。
まず、アフガン政府や近隣諸国(中国、インド、イラン、パキスタン、ロシア、中央アジア諸国)と協力して、テロリストの居場所や動きを監視する新たな情報共有メカニズムを構築すること。これらの国々の多くが、国際テロ組織アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)を懸念している点で一致できる。
次にアフガニスタン国内のテロリストを攻撃するためには、近隣諸国に拠点が必要になる。最も理想的な候補はパキスタンとウズベキスタンだ。