イタリア、ワクチン接種後の死亡めぐり検察が捜査 医師と看護師に業務上過失責任は問えるか?
グレーゾーンの事件
医療従事者の労働組合は、こうした捜査は医療スタッフを深く動揺させていると話す。医師たちの労働組合ANAAO-ASSOMEDを率いるカルロ・パレルモ氏は、「単に筋肉注射をしているだけだ。どのような副反応が起きようと責任を持つことはできない」と語る。
「こういう事件に巻き込まれた医師たちが皆、どれほど個人的な悪影響を受けるか想像できるだろうか。弁護士を見つけ、検視に立ち会う専門家を探さなければならない。ひどい混乱につながる」
イタリア刑法では、医療従事者が訴追されるのは、悪意又は重大な怠りがあった場合に限られる。組合によれば、シラクサの事件はグレーゾーンの存在を示唆しており、政府がワクチン接種を行う医療従事者に特別な法的保護を与えることが求められるという。
ロベルト・スペランザ保健相は、「コリエーレ・デラ・セラ」紙に対し、ワクチン接種従事者への法的保護は「よい考え」だろうと語った。
企業レベルでは、アストラゼネカとEUのあいだで、結果的に何か法廷闘争に至った場合、ワクチン接種について弁護する責任は同社が負うとの合意ができている。だが、あるEU当局者が昨年9月にロイターに語ったところでは、EU各国政府は、想定される副反応をめぐって所定の基準以上の損害賠償請求が発生した場合、政府側が支払いを肩代わりすることで合意しているという。
押収ワクチンの行方
ボノ検察官とは異なり、イタリア北部の街ビエッラのもう1人の検察官は、先週に捜査を開始した時点では容疑者を特定しなかった。57歳の音楽教師サンドロ・トグナッティさんがアストラゼネカ製ワクチンの接種を受けた翌日に亡くなった事件を受けた捜査だ。
だが、このテレーザ・カメリオ検察官も、ワクチンの劣化がなかったか確認するための予防的な措置として、トグナッティさんが接種されたものと同じ製造ロットのアストラゼネカ製ワクチン39万3600回分を押収するよう命じている。
カメリオ検察官はこの件についてコメントを控えるとしている。