ヨルダン川西岸で拡大するイスラエル入植地...「トランプ2期目」に期待の声
11月23日、イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区で同国による入植活動が過去に例のない拡大を見せた今、入植推進派の一部からはトランプ次期米大統領に期待する声が上がる。写真は西岸地区の入植地シロ。11月9日撮影(2024年 ロイター/Mohammed Torokman)
イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区で同国による入植活動が過去に例のない拡大を見せた今、入植推進派の一部からはトランプ次期米大統領に期待する声が上がる。目指すは、パレスチナ側が将来の独立国家の中心とみなす同地区にイスラエルの主権を確立するという夢の実現だ。
2年前にネタニヤフ首相が極右連立政権のトップとして返り咲いて以来、西岸地区はユダヤ人入植地の急速な拡大により、その姿を変えてきた。その間、入植者による暴力行為が拡大し、米国による制裁を受けるに至った。
ここ数週間、一部の入植者が西岸地区のヨルダン渓谷で権利を主張する複数の丘の頂上にイスラエル国旗が翻った。地元のパレスチナ住民の多くは、これらの地域でイスラエル側の支配が拡大するのではないかと懸念を募らせている。入植者のあいだでは、投票日を前にトランプ氏の勝利を祈る声があった。
イスラエルによる西岸地区の併合を支持する活動家で執筆活動も行っているイスラエル・メダッド氏は、西岸地区の入植地シロで40年以上暮らしている。自宅でロイターの取材に応じた同氏はトランプ氏の勝利について、「とても期待している。私たちはやや有頂天になっているとさえ言える」と語る。入植者たちにとっては、トランプ氏がイスラエル寄りの発言で知られる人物を政権幹部候補として次々に指名しているのも朗報だ。その1人が、駐イスラエル大使として指名されたマイク・ハッカビー氏。キリスト教福音派であり、西岸地区は占領地ではないとの発言もあり、「入植地」ではなく「コミュニティー」という呼称を好んでいる。
ここ1カ月、米国のキリスト教右派との人脈を築いてきたイスラエル政府閣僚と入植推進派は、かつては過激な主張とされていた西岸地区における「主権の回復」を公式発言においても前面に出すようになっている。ネタニヤフ政権はまだこの件について公式決定を発表していない。首相府広報官は、この記事に対するコメントを控えるとしている。
イスラエルとサウジアラビアの関係正常化に向けた「アブラハム合意」をベースに、もっと広範囲の合意をめざすという米国政府の戦略的野心をリスクにさらすような動きをトランプ次期大統領が支持するかどうか、確かなことは何もわからない。サウジアラビアは、世界の大半の国と同様、西岸地区におけるイスラエルの主権を否定している。
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