「トランプ共和党」はこれからも続くか 弾劾無罪評決で党内にジレンマ
こうした党内の亀裂が引き金になって、保守派の間では共和党がどれだけ右傾すべきかを巡って公然と議論が巻き起こっている。トランプ氏が台頭し大統領に当選する中で重要な役割を担ったフォックス・ニュースでは、フォックス社のマードック最高経営責任者(CEO)がつい最近、同社投資家に対し、フォックスは中道右派の立場を守っていくと表明した。
フォックスが大統領選挙の開票速報でアリゾナ州でのトランプ氏の敗北をいち早く、結果的にも正確に打ったことで、同氏はフォックスを激しく非難。もっと右寄りの動画メディアが不満だらけなトランプ支持者を引きつける機会を作り出した。
しかしマードック氏は「われわれはさらに右寄りになる必要はない」と断言。「われわれは米国が一段と右傾しているとは思わないし、われわれが左寄りに軸足を置くつもりもないのも明白だ。」と語った。
愛国者の「新党」構想も
元共和党幹部ら数十人は党がトランプ氏に対抗しないことに失望し、新たな中道右派政党を立ち上げることを協議した。ただ、複数の共和党議員はこの構想を否定している。
トランプ氏の側近によると同氏自身も新党・愛国者党を作ることを話しており、そうした動きはさらに共和党内の分裂を悪化させている。
トランプ氏は当面は共和党を左右し続ける。しかし、弾劾裁判に際して幾人かの共和党上院議員は、議事堂襲撃やトランプ氏が選挙不正を何か月も言い立てたことで残る汚点は、24年の大統領選再選の可能性を損なうとみている。
弾劾裁判で有罪に賛成した共和党のリサ・マカウスキ上院議員は記者団に、「ここ議事堂で起きた全容が米国民に明かされた後に、トランプ氏が大統領に再選され得るとは思わない」と述べた。
トランプ氏が既に大統領を退任し、お気に入りの発信手段だったツイッターへのアクセスも阻止されていることで、新たな問題や人材が浮上してくるにつれてトランプ氏の党への支配力は弱まる可能性があるとみる共和党議員も何人かいる。
トランプ氏の盟友であるジョン・コーニン上院議員は、トランプ氏の大統領としての遺産は恒久的に打撃を受けたと話す。「トランプ氏は多くの素晴らしいことをしたのに、不幸にも昨年の大統領選後の彼の振るまいや対応のほうが後世に記憶されようとしている」とも指摘。「これは悲劇だと思う」と語った。
(John Whitesides記者)
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