バイデン政権はブルーカラーを失望させたオバマの過ちから学べるか
LEARNING FROM OBAMA’S FAILURES
上院では、急進派のシェロッド・ブラウンが銀行委員会を率いる予定だ。ブラウンは2008年の金融危機後に大手金融機関の分割に向けて尽力したが、当時の銀行委員会の委員長を務めていたクリストファー・ドットとオバマ政権に妨害された。今のブラウンはこの法案を復活させられる立場にあり、「ウォール街がアメリカ経済全体を支配すべきではない」と語って、超党派の支持獲得に自信をのぞかせている。
一方、上院予算委員会のトップに就くのはバーニー・サンダースだ。連邦予算に優先順位を付けたり、巨額の費用がかかる案件について上院でのフィリバスター(議事妨害)を回避するための財政調整措置と呼ばれる難解な手法を行使できる立場にある(自身が最近提案した、コロナ禍の最中には保険加入の有無にかかわらず全員を医療保険の対象とする計画も、この措置の対象となる)。
平時とは異なる対応が必要だ
オバマ時代の民主党は、しばしば権力の行使をためらってきた。公的医療保険法案を成立させるために財政調整措置を利用しなかったのも、その一例だ。対照的に、トランプ政権時代の共和党陣営はこの手法を活用して富裕層向けの大型減税などの政策を推し進め、議会審査法を使ってオバマ時代に制定された法律を次々に廃止した。
変化を起こすためにあらゆる手段を用いることの道義的、政治的な必要性をサンダースはワシントンの誰よりも理解している。「ルーズベルト以降、この国で見られなくなった大胆さを持って行動すべきだ」と、サンダースはNBCニュースに語っている。「できなければ、われわれは2年後に過半数を握っていないだろう」
バイデンは、コロナ危機以前の普通の生活を取り戻すと約束して大統領選を戦った。だが、アメリカをどん底から救い、独裁主義の高まりを食い止めるにはそれだけでは不十分だ──ちょうど大恐慌時代に、それだけでは不十分だったように。
当時、ルーズベルトは平時のやり方ではファシズムを食い止めて国家を救うことはできないこと、もっと大きな動きが必要であることを理解していたようだ。「冷淡で身勝手な悪行を信奉してきた金融と企業の行動に終止符を打たねばならない」と、彼は1期目の就任演説で語った。「回復が必要なのは倫理面の変化だけではない。この国は行動を求めている。今すぐの行動を」
この言葉は、現在のような危機の時代にも当てはまる。アメリカに何より必要なのは、バイデンによる「国家の魂」への退屈な賛歌ではなく、急進派に背中を押されて行動を起こし、労働者階級にリアルな物質的恩恵をもたらす新政権だ。
それが実現しなければ、相変わらずの不平等と貧困と機能不全に対する怒りの波が高まり、それに乗じて新たな右派系独裁主義者が現れる可能性が高い──その人物は、トランプ以上の危険をはらんだ存在となるだろう。
<2021年2月2日号「バイデン 2つの選択」特集より>
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