「中国に甘いバイデン」は誤解、対中改善しようにも手は限られている
CAN BIDEN RESET CHINESE RELATIONS?
中国と付き合う経済的利益と、アメリカに対する信頼の緩やかな崩壊のせいで、アメリカの同盟国の多くは中立的な態度を取り続けたいところだが、適切なバランスを維持するのは難しい。それでも中国と全面的に敵対することは避け、是々非々の姿勢を貫こうとするだろう。
例えば安全保障や人権に関して、アメリカの同盟諸国は明確にバイデンを支持するが、貿易や投資、技術に関しては自国の利益次第でどちらにつくか決めるだろう。また気候変動に関しては、中国とアメリカが国際社会と歩調を合わせるように最大限の努力をするだろう。
バイデンに対抗するために、将来のアメリカの制裁に対する脆弱性を減らすことも中国の優先課題だ。経済面のデカップリングは、中国の力を封じ込めたいアメリカ側が生み出した路線だが、今では中国の指導部も、アメリカの市場と技術への過度な依存をリスクと見なしている。
昨年10月に策定された今後15年間の長期計画を見ると、中国側は内需拡大と自前のサプライチェーン構築を通じた成長戦略を模索している。徐々にアメリカ経済からのデカップリングを進めるつもりでいる。
中国側はアメリカとの対決を、世界の大国としての地位を固めるための長期戦と見なしている。中国にも弱点があることに、習近平は気付いている。しかし時間をかければ勝てるし、勝つための選択肢も増えると信じている。その信念が間違っていると、果たしてバイデンは証明できるだろうか。
<2021年1月26日号「バイデンvs中国」特集より>