バイデン次期政権でも「台湾重視」の対中強硬姿勢は変わらない
Taiwan to Continue Front-line Role in Joe Biden's Strategy to Contain China
中国の国営メディアに出演した複数のアナリストは、トランプ政権――特にマイク・ポンペオ国務長官――がバイデンに自分たちの中国政策を押しつけようとしていると指摘。12日の文書公表も、自分たちのインド太平洋政策を引き継がせるために、バイデンに圧力をかけるのが狙いだったと主張した。
13日には、バイデンがホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーに、ベテランのアジア専門家カート・キャンベル元国務次官補を起用することが明らかになった。安全保障問題担当大統領補佐官に就くジェイク・サリバンの直属である「アジア太平洋調整官」で、中国を含むアジア戦略の責任者だ。
キャンベルは2009年から2013年にかけて、バラク・オバマ前政権で東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めた経験がある。台湾の駐米代表(大使に相当)である蕭美琴はキャンベル起用の発表を受けて投稿したツイートの中で、彼は「アジアで高い尊敬を集める人物」だと評した。
また台湾外交部の歐江安報道官は本誌に宛てた声明の中で、「カート・キャンベルは台湾の友人というだけでなく、この地域や中台関係にも精通している」と述べ、こう続けた。「キャンベルの起用は米台関係とインド太平洋地域の発展にとっていいことだ」
オバマ時代と大きく異なる状況
オバマ政権の「リバランス(アジア回帰)」政策に寄与したキャンベルは、2020年12月に台湾で開催された安全保障フォーラムに台湾の蔡英文総統とともにリモートで登壇している。蔡はこの時までに、サリバンや次期国務長官に指名されているアンソニー・ブリンケンとも会っている。
中国の複数の政策アナリストは、サリバンとブリンケンについて、オバマ時代からの「なじみの人物」であり、米中の関係修復の助けになり得るとみている。キャンベルについても同じように考えているかもしれないが、国防安全研究院のチェンは、その考え方は「リスキー」だと指摘する。
「4年前、8年前や12年前とは状況がまったく違う。中国は当時よりも強硬かつ攻撃的になっている」と彼は言う。「米民主党の政治家たちは、オバマ政権当時と同じような考え方はしないだろう」
チェンはキャンベルの2016の著書『THE PIVOT/アメリカのアジア・シフト』を引き合いに出し、キャンベルはインド太平洋地域の安定と安全保障を守るためには、ソフトパワーとハードパワーの両方を行使すべきだと考えていると説明した。
キャンベルは12日、米外交専門誌のフォーリン・アフェアーズに、ブルッキングス研究所の中国専門家ラッシュ・ドシと共同で執筆した論文を寄稿。この中で自らの政策方針を明らかにした。