警官の暴力は許せないが、警官の顔撮影は禁止するというマクロンの二枚舌
Clip of French Police Beating Black Man Watched 14M Times
マクロンは今回の一件を「恥ずべきこと」と称し、警察と市民の間の信頼関係を再構築する方法について、早急に政府案を取りまとめるよう指示した。マクロンは動画を見て激怒し、ジェラルド・ダルマナン内相を大統領公邸であるエリゼ宮に呼び出したという。
「ミシェル・ゼクレア氏に対する暴行を捉えた映像は、すべての人にとって容認できない、恥ずべきものだ。フランスは、いかなる者による暴力行為や残虐行為も決して許さない。憎悪や人種差別の広がりを許してはならない」とマクロンはフェイスブックに声明を出した。「法の適用を仕事とする者たちは、法を尊重すべきだ」
またマクロンはツイッターへの投稿で、変革のための提案を取りまとめるよう要求し、次のように述べた。「日々私たちを守るために勇敢に働いている人々の一部による、不当な暴力は決して容認しない」
ダルマナンは、問題の警察官らの解雇を求めていく意向を表明。11月27日にフランスのテレビ番組に出演し、彼らは「フランスの警察の評判を傷つけた」と批判したが、一方で警察全体については擁護した。
「警察や憲兵のことは支持している」とダルマナンはツイート。「彼らの大部分は、困難な状況のなか素晴らしい仕事をしている」
各地で警察撮影禁止法案に抗議のデモ
ダルマナンに対しては、極右の政治家として知られるマリーヌ・ルペンの支持者に媚びを売っているという批判の声もある。だがダルマナンは、今回の事件について、ゼクレアに対する暴力行為を「言葉にならないほどの衝撃」とはっきり批判しており、マクロンに至っては、動画を見て(怒りのあまり)「真っ赤になった」とも報じられている。
だが動画の暴力に怒りを表明した後も、マクロンに対しては厳しい批判の声がある。政府が、警察官に害を及ぼす意図をもって警察官の写真や動画を公開することを禁じる、新たな法案(グローバルセキュリティー法案)の成立を目指しているためだ。フランス各地でこの法案に抗議するデモが展開されている。
人種差別反対を訴える活動家のシハーム・アスベグは、AP通信に対して、「移民や人口密集地域に暮らす住民たちは、何十年も前から警察の残虐行為を非難してきた」と指摘。一般市民が撮影した動画が「権力の乱用や暴力行為、残虐行為など、フランスの警察が抱える制度上の問題」に注目を集める上で役に立ってきたと主張した。