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セントルイス連銀総裁、インフレ期待上昇リスクを懸念

2025年02月21日(金)08時05分

米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は20日、このところの経済指標でインフレ期待の上昇傾向が示されているとし、景気停滞と物価上昇が同時に起きるスタグフレーションに米経済が陥るリスクを指摘した。2022年6月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Howard Schneider Michael S. Derby

[ワシントン/ニューヨーク 20日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は20日、インフレ期待の上昇と、物価上昇に伴う労働市場の軟化という2つのリスクを指摘した。

ニューヨークのエコノミック・クラブでの講演で、このところの経済指標でインフレ期待の上昇傾向が示されていることに懸念を示し、FRBが一段と制約的な金融政策を迫られる可能性があると指摘した。

「現在の環境では、インフレ率が目標水準かそれを下回っている場合よりもリスクは大きい」とし、「インフレ期待が抑制されなくなるリスクは、経済に緩みがあり、消費者や企業が高インフレの時期を最近経験していない場合よりも大きい」と述べた。

インフレ率は最終的に目標の2%に収束するとの見方を示しながらも、インフレ期待の短期的な指標は過去3カ月間で顕著に上昇していると指摘。インフレ率が現在の水準に高止まりしたり、インフレ期待が上昇したりすれば「基本シナリオと比べて、一段と制約的な金融政策が適切になる可能性がある」と述べた。    

講演後に記者団に対し、インフレ率が2%目標に持続的に収束すれば、追加利下げの自信が強まるとの考えを示した。ただ、具体的な時期には言及しなかった。

また「緩やかに引き締め的な金融政策が維持されれば、インフレ率は2%に向けて収束し続けるが、それには時間がかかるというのが私の基本シナリオだ」とした上で、「インフレ率が引き続き目標の2%を上回るリスクは上方に偏っている」と述べた。

「インフレ収束が確実になるまで」制約的な金融政策が適切とした一方、政府の政策転換によって経済の道筋に大きな影響が生じる可能性があるとし、「インフレ収束が止まる、あるいはインフレ率が上昇し、同時に労働市場が弱まるという、起こり得る代替シナリオも考慮する必要がある」と述べた。

ただ、インフレ率上昇と労働市場軟化のリスクは「スタグフレーション」と見なすほど重大ではないとの見方を示した。

このほかトランプ政権からの指示について、FRBはリアルタイムで内容を精査しているとし、「これまでと同様に、関連法に照らして適切な範囲で大統領令に沿った対応を取る措置を講じている」と語った。ただ、現在も精査が続いているため、これ以上のコメントは控えるとした。

ロイター
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