新型コロナウイルスワクチン、各国の入手時期と接種の進め方
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複数の製薬企業は、規制当局が向こう数週間でワクチンを承認してくれれば、ほぼ即座に世界各地の政府と協力して配布を始められるとしている。それには、だれがワクチン接種を受けるか、どんな順番で接種するかを決める必要がある。写真はパリ近郊の病院で10月撮影(2020年 ロイター/Benoit Tessier)
新型コロナウイルスのワクチンで米製薬大手・ファイザーとドイツのバイオ企業・ビオンテック、これと別に米バイオ企業のモデルナが、約95%の有効性を示す臨床試験結果を発表。英製薬大手・アストラゼネカも今週、同社のワクチンの有効性が最大90%の可能性があると発表した。
こうした企業は、規制当局が向こう数週間でワクチンを承認してくれれば、ほぼ即座に世界各地の政府と協力して配布を始められるとしている。それには、だれがワクチン接種を受けるか、どんな順番で接種するかを決める必要がある。
想定されるプロセスの概略をまとめた。
本格配布の時期
ファイザー、モデルナ、アストラゼネカは、既にそれぞれのワクチン製造を始めている。ファイザーによると年内に2500万人分、モデルナは1000万人分、アストラゼネカは1億人分以上を生産する。
米国では、国防総省と米疾病対策センター(CDC)が配布を管理する。開始の可能性が高いのは12月半ばで、初回分は全米で640万人分が見込まれる。
英保健当局も、ワクチンを承認したらできるだけ早く本格配布する計画。時期は12月中の見込み。
欧州連合(EU)では、国民向けのワクチン配布開始は各加盟国に任せられる。
米国での開始
CDCは米食品医薬品局(FDA)承認後の最初の対象者が、医療従事者約2100万人と長期療養施設の居住者300万人になると表明している。
次に対象となる可能性が高いのは、在宅では対応できない、社会生活維持に不可欠な仕事の従事者8700万人。消防士、警察官、学校や輸送関連、食品、農業関連、食品サービスの労働者などだ。
その次が、持病などで健康状態のリスクが高い成人約1億人と、65歳で区切る高年者になる。
米公衆衛生当局者によると、一般向けには来年4月から薬局、診療所などで大半の米国民がおおむねワクチン接種を受けられるようになる。6月末までには希望者はだれでも接種してもらえるようになるとしている。
子供の場合は、接種を受けられるようになる時期がはっきりしない。ファイザーとビオンテックは、最も若くて12歳のボランティアへの臨床試験を開始している。