バイデン、政権1年目に直面するFRB人事とは
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米大統領戦で勝利を確実にしたバイデン前副大統領は、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長(写真)を再任すべきか否かを含め、FRBにどの程度変化を求めるかの判断を政権1年目に迫られそうだ。米議会で9月代表撮影(2020年 ロイター)
米大統領戦で勝利を確実にしたバイデン前副大統領は、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長を再任すべきか否かを含め、FRBにどの程度変化を求めるかの判断を政権1年目に迫られそうだ。
民主党内の進歩主義派はさらに大幅なFRB改革を求める可能性が高く、バイデン氏はこの要求を検討する必要が出てくる。民主党の綱領には、金融政策において人種間の資産格差等への目配りを強化するようなFRB改革が含まれるからだ。パウエル議長がそうした点で適任かどうかについてもバイデン氏は判断を迫られる。
金融規制の強化を求める勢力からもパウエル氏の続投に反対する声が上がるかもしれない。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員はそうした主張の急先鋒で、2018年にはパウエル氏の議長任命に反対した。
パウエル議長の任期は2022年2月に終わる。メロンの首席エコノミストで元FRB高官のビンセント・ラインハート氏によると、バイデン氏を大統領に推した勢力は多種多様で、同氏はそれぞれの要求のバランスを取るため、パウエル議長の任期終了時に人事によってFRBに自身の刻印を押したいと望む可能性がある。民主党には豊富な経済専門家集団がいるとラインハート氏は言う。
その1人であるブレイナードFRB理事は、パウエル議長の後任もしくは次期財務長官の候補に名前が挙がっている。またアトランタ地区連銀のラファエル・ボスティック総裁は、黒人初の地区連銀総裁であり、経済公正性などの問題についてFRB内で影響力を高めている。バイデン氏が副大統領だった時期には住宅都市開発庁の次官補を務めた。
最も抵抗の少ない候補
とはいえ、パウエル議長が続投に向けて不利な立場にあるわけではない。FRBを手堅く運営し、新型コロナウイルスの大流行に力強く対応しただけでなく、波乱に満ちたトランプ米大統領との関係もうまく乗り切ってきた。これは議会で民主、共和両党の支持を構築できたことが一因だ。
上院で共和党が過半数を維持し、バイデン氏が指名した人事の承認権を同党が握ることになった場合、議会におけるこの「同盟」がパウエル氏の資産となるかもしれない。共和党のパウエル氏(67)はバイデン氏と同じく穏健派で、超党派的な考えを持ち、ワシントンの機関の中で良く知られた存在だ。
コーナーストーン・マクロのアナリスト、ロベルト・ペルリ氏は最近、パウエル氏は「最も抵抗の少ない候補になるだろう」と記した。