アメリカ大統領選、当日の「誤報リスク」 TV各局は当確の重圧
法廷闘争になれば、まさに2000年のように、連邦最高裁が最終的な調停役になる可能性がある。ただ、そうした場合の最高裁の役割については既に論議が起きている。共和党は死去したリベラル派判事、ギンズバーグ氏の後釜を急いで据えようとしており、いま指名されている人物が就けば最高裁のバランスが右派に傾くことになるからだ。
こうした社会分断の状況で、各テレビ局は報道が偏向していないか、微に入り細に入り吟味されることになる。
コロンビア大学ジャーナリズム大学院のスティーブ・コール学長は「メディアも二極化が進んでいる。一部の局の視聴者は特に特定の主義主張に凝り固まる傾向もあるため、一方向に偏っていると見なされたり、他局とは違ったりする当確判定は、正確な選挙報道ではなく政治的な戦術のたぐいと受け止められる恐れがある」と説明する。
コール氏によると、今回の大統領選報道では州レベルでも郡レベルでも詳細な報道が求められる。こうした精度の必要性は2016年の大統領選挙で浮き彫りになった。一般投票の得票総数ではクリントン氏が勝利しながらも、選挙人獲得ではトランプ氏が上回ったが、ここでは少数の激戦州が結果を左右した。票差はときに極めて僅差になり、ミシガン州ではわずか約1万1000票差だった。
コール氏は、今年は特に接戦で無理やり判定を下すのは危険だと指摘する。得票差があまりに小さい場合、20州と首都ワシントンでは自動的に再集計になる。幾つかの州では選挙当夜、誰が勝利したかだけでなく、票差が再集計につながるかを見極めるのさえ難しいかもしれない。
分かっていないことを率直に示す提示し続ける
各局幹部はロイターに対し、何が分かっていて何が分かっていないかを率直に示すことが局にとって鍵になると強調した。
CNNの政治番組ディレクター、デービッド・チャリアン氏は「今年の不在者投票と郵便投票の劇的な増加を考えると、選挙当夜の開票状況について視聴者や読者に透明性を提示し続けることが一段と重要になる」と話した。
幹部らによると、当夜の選挙区からの報道だけでなく、期日前投票と郵便投票の比率予想も重視する方針。
選挙陣営が十分な証拠もなく勝利を宣言したり、テレビ局の予想に異議を唱えたりすれば、各局はそれも報道するという。当確は各局の「判定デスク」が担当し、出口調査や過去の選挙のデータ、どんどん入ってくる実際の開票結果の組み合わせに基づいて判定する。
CBSニュースのスーザン・ジリンスキー社長は「今夜はいろんなシナリオがあり得る」と視聴者にそれなりの心構えをしてもらうことも重要だと話す。「今度の選挙は全く予測不能だからだ」
(Helen Coster記者)
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