最新記事

ビジネス

韓国版ウーバーイーツ「ベミン」 ロボット配達や小規模店へのネット講座でコロナ下の飲食店をサポート

2020年8月26日(水)20時45分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

大学キャンパスなどでロボット配達の試験サービス

通信会社SKテレコムと協力し、次世代ネットワーク5Gの活用で実現可能となったこの宅配ロボットの名前は、「ディリドライブ」だ。6つのタイヤの上のボディーフォルムは、蓋をしたお鍋の形にも見える。前方には大きな目が付いており、安全対策として「配達の民族」のテーマカラーであるブルーの旗が付いている。一度の充電で8時間の稼働が可能で、時速4〜5Kmで走行する。約6人前分の重さまで運ぶことができ、ライトもついているため夜間配達にも対応しているという。

すでに昨年の11月からテスト運用が開始され、建国大学構内で約1カ月間ロボット配達が行われた。さらに今月18日には、水原市内のマンション1100世帯を対象に、配達ロボットのサービスを開始すると発表した。まずは5台で運用をスタートするという。しかし、自動運行ロボットといっても、まだ自分でエレベーターに乗ったり、ボタンを押したりすることはできないので、注文したお客はマンションの1階か、外の指定場所に取りに行くシステムとなる。

また、横断歩道では自動的に一旦停止し、映像官制システムに繋がるようになっている。その後、リアルタイムで人間がロボットを制御し横断させる仕組みだという。路上運行はまだ時間がかかりそうだが、これからアパートや公共施設、学校単位で徐々に広まっていき、最終的にはSF映画のようにどこにでも配達可能なシステムになりそうだ。

レビュー内の悪質コメントをAIでチェック

「配達の民族」のハイテク化といえば、アプリ内のお店レビューにおいて、悪質な誹謗中傷コメントの監視にAI(人工知能)を採用していることも有名である。韓国人は日本人に比べて、レビューや口コミを重視する傾向にあり、レビューはお店の選定を大きく左右する。監視機能AIは、今年上半期だけでもアプリのレビュー内に約7万件の誹謗中傷コメントを摘発し、削除と書き込みした人のIDの投稿禁止処置を行う好成果を見せた。

日本でも、今年はオンラインでの誹謗中傷問題が注目を集めているが、ライバル食堂を潰す目的以外にも、ただストレス発散のため、悪口を書き込みたい人のレビューを防止する「レビュー掲示中断プロセス」が先月末から導入されている。

なかでも画期的なのは、お店側が悪質と判断したレビューの掲載中断を要請すれば、30日間の臨時措置として掲載が中止され、この期間中にお店側とレビューを投稿したお客それぞれの意見を調整することができるようにした。誹謗中傷を対話で解決させようという取り組みは、原始的ながら一番重要な解決策なのかもしれない。

【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中