中国はファーウェイ5Gで通信傍受する、英米の歴史からそれは明らか
STATE WIRETAPS GO BACK A LONG WAY
シャムロックがアメリカの安全保障や政治に実際に与えた影響について、公の情報ではほとんど知られていない。NSAで長年副部長を務めたルイス・トルデラは、シャムロックは第2次大戦の初期から「誰からも大きな注意を払われずに」活動を続けたが、実際には「あまり価値を生み出さなかった」としている。だが、そうだとすれば、なぜ活動が続いたのかという疑問が湧く。
1975年に政府情報機関の非合法活動の調査のために設立された上院の情報活動調査特別委員会、通称「チャーチ委員会」はシャムロックの活動を暴き、「おそらくこれまでで最大の政府による通信傍受プログラム」と結論付けた。このことは、アメリカ国民の通信の傍受を規制する1978年の外国情報監視法(FISA)につながった。
だがシャムロックで確立された原則は生きていた。通信会社は違法と思われる場合でも、アメリカの情報当局に自ら進んで協力した。
現代のデジタル革命は、政府による情報収集の本質、範囲や規模を根本的に変え、それによって諜報の本質そのものも変わってきた。
だが情報収集のために通信会社を利用するという基本原理は、インターネット時代になった今も変わらない。情報通信という干し草の山の中にわずかに含まれる重要な情報を見つけ出すためには、国がその干し草の山を所有する必要があるからだ。
今では通信会社と秘密の合意を結ばなくても、政府の情報収集活動を支える法的な枠組みがある。NSAによる電話のメタデータ(通信記録)の一括収集プログラムは、米愛国法第215条を通じて行われた。GCHQはスノーデンに暴露されるまで、時代遅れの曖昧な法律の下で大量の情報収集を行っていた。
こうした情報収集は継続的な監視を行う「監視社会」だと批判されるが、実際にはそうでもなかった。スノーデンによる暴露後に作成された米諜報活動の透明性報告書によれば、NSAは通話やテキストメッセージに関する大量の情報を収集したものの、それが特定の人物(またはそれらしき人物)に関する具体的調査につながった例はごく一部だ。
しかし彼らの情報収集プログラムは国の安全保障には貢献してきたようだ。イギリスの独立調査では、情報収集プログラムがスパイ対策やテロ対策、麻薬対策や人身売買対策に役立ったことが明らかになった。ロシアのハッカー集団「ファンシーベア」による2015年の英総選挙介入の試みをGCHQが突き止めた(そして阻止した)きっかけも、この情報収集だったようだ。
数十億の「秘密の裏口」
国家が新たな通信プラットフォームを使ってスパイ活動を展開しているのではないかという疑惑は、中国やファーウェイに限った話ではない。
例えばカスペルスキー社のウイルス対策ソフトは、ロシアの諜報機関と関連があると考えられている。アラブ首長国連邦のメッセージアプリ「ToTok」は、同国政府の諜報活動に使われているといわれている。中国政府は、大人気の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を悪用していると疑われる。
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