「生きていること自体が噺家の仕事」──30年の落語家生活で柳家喬太郎が到達した円熟
蓮二 「己か作品か」って、別々のものじゃないんですよ。だから己を描いての作品になるし、作品を描いても結局、己になる。
喬太郎 そうなんですよね。でも、ちょっとそれの呪縛になっちゃった感じはあったかな。談志師匠が「伝統を現代に」とか「江戸の風」とかおっしゃっていたこともあったけれど。
蓮二 自分らは江戸に生きてないんで。
喬太郎 わかんない。
蓮二 江戸の風は、吹かないんですよ。吹きようがないんですよ。昭和40年代の風だと、いくらでも吹かせられるんだけどな(笑)。
喬太郎 そう、俺があんだけ嫌がってた80年代の風ビュンビュン吹かせますよ~。ビュンビュン吹かせちゃうよ、俺。
『喬太郎のいる場所 柳家喬太郎写真集』
橘蓮二著
CCCメディアハウス
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