2度目のロックダウンで米企業10兆ドルの「債務爆弾」が破裂する
A $10 Trillion Corporate Debt Bomb is Waiting to Explode the U.S. Economy
米旅行協会は今週、旅行業界のリーダー14人の連名で、ドナルド・トランプ米大統領と議会に書簡を提出。苦境にあえぐ旅行部門を再生させるため、新型コロナウイルスの検査体制を拡充するよう求めた。
同協会は、コロナの直撃を受けた旅行業界の損失により、2020年の米GDPは前年に比べ1.2兆ドル減る恐れがあると警告した。資金繰りに苦しみ、デフォルト(債務不履行)に陥りかねない企業は、旅行会社だけではない。
「デフォルトの波が広がれば、信用スプレッド(信用力の低い債券に上乗せされる金利)が広がって、(格付けの低い)企業の資金調達コストはさらに上昇する」と、ガリーは言う。
「そうなるとさらに企業の倒産が相次ぎ、失業も増えて、大量倒産・大量失業に陥りかねない。景気の冷え込みが長引けば、それに応じてデフォルトも増えるだろう。特に信用力の低い企業は資金を調達できなくなる」
国際金融協会(IIF)によると、デフォルトに陥った世界の非金融企業の発行済み社債の総額は、額面で今年第2四半期に史上最高の940億ドルに上り、その4分の3を米企業が占める。
V字回復はなし
デフォルトの嵐がいつまで続くかは、パンデミックの収束時期にかかっていると、IIFのエムレ・ティフティク研究ディレクターは本誌に話した。「収益の改善が見込めない状況ではなおのこと、企業が過剰の借り入れを長く続けることは不可能だ」
「債務が増え続ければ、多くの企業は今後の危機に対して今以上に脆弱になり、新規の設備投資は大幅に減り、中長期的には生産性の向上と成長が阻まれるだろう」
ユタ大学デービッド・エクルズ経営大学院のジョナサン・ブロガード教授(金融学)も今後何カ月かデフォルトが増え続けるとみている。
「大いに期待されたV字回復は起きそうもない。多くの製品とサービスの需要が低下している状況では、(デフォルトの)急増は驚くに当たらない。COVID-19が猛威を振るい、感染拡大が長引けば、それに応じてデフォルト件数も増え続けるだろう」と、ブロガードは本誌に語った。
「再び大規模な経済活動の停止が必要になれば、各国政府と中央銀行は、大量倒産を防ぐために、これまでに講じてきた支援策を延長せざるを得ない」
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