警察を占拠したデモ隊の「自治区」に流れる不穏な空気
Seattle Protesters Set Up Barricades, Prepare to Defend CHOP From Police
排除にやってくる警官に対抗するためにバリケードを築く「自治区」のデモ参加者 Lindsey Wasson‐REUTERS
<デモ隊が「自治区」を宣言したシアトルでは、自治区内で2度も銃撃事件が発生し、市長は警官隊を突入させることも辞さない構えを見せている>
アフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドを白人の警察官が死亡させた事件以来、全米に人種差別への抗議活動が広がっているが、その一環として、ワシントン州シアトルでは、デモ隊が警察署の周辺を封鎖、警察官の立ち入れない「自治区」の設立を宣言した。
シアトルのジェニー・ダーカン市長は、この周辺で2度にわたる銃撃事件が起きたことから、自治区の解体を宣言。一方、デモ参加者は自治区を警察から守る準備を進めている。
デモ隊がシアトル市東部を管轄する警察署周辺の数ブロックを占拠したのは、6月8日のことだった。その日、警察は平和的に行われていた人種差別に抗議するデモの参加者に、催涙ガスや唐辛子スプレー、閃光弾を発射していた。
デモ隊は警察署の周囲をバリケードでふさぎ、警察官を締め出した。そして、その一角を「キャピトルヒル自治区(CHAZ)」と宣言した。
ダーカン市長は22日の記者会見で、市はデモ隊による地区の占拠を終わらせるために、地域住民との交渉を開始していると語った。
また「自治区」にまもなく警官が戻ると言い、デモ隊が自発的に去らないのであれば、「追加の措置」が講じられる、と述べた。
警察には徹底抗戦の構え
だがこの発表のすぐあとに、ソーシャルメディアに投稿された動画や画像を見ると、デモ隊は自発的に自治区を明け渡すつもりはなさそうだ。
あるツイッター・ユーザーが投稿した写真には、警察署の東館の周囲に設置されたバリケードが写っていた。「警官が来ても備えは万全」とユーザーは書いている。
警察署の外壁には、「要求が聞き入れられるまで、われわれは立ち去らない」と、書かれた紙が貼られている。バナーで示された要求は3つ――シアトル警察の予算を50%削減すること、黒人コミュニティに資金を提供すること、逮捕されたデモ参加者を全員解放すること、だ。
22日夕方にジャーナリストのジェイク・ゴールドスタインストリートが投稿した数本の動画には、警察官がデモ隊の排除にやってきたときのための備えするデモ隊の様子が映っていた。
東側の建物から警察が入ってくるのを阻止するために、フェンスとバリケードを移動するデモ参加者たちの姿もあった。
警察署の周囲で人間の鎖を作る練習しているデモ参加者の動画もある。
別のユーザーが投稿した動画では、デモ参加者がシアトルの運輸局が自治区の周囲に置いたコンクリートのバリケードを動かしていた。
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