最新記事

人種問題

米アトランタ、警官が黒人男性射殺 抗議デモ広がり放火も

2020年6月15日(月)09時36分

米南部ジョージア州アトランタ市で6月12日夜、ハンバーガーチェーン「ウェンディーズ」のドライブスルーエリアで黒人男性が警察官に銃撃されて死亡、13日の抗議デモで参加者の一部が同レストランに放火する事態となった(2020年 ロイター/Elijah Nouvelage)

米南部ジョージア州アトランタ市で12日夜、ハンバーガーチェーン「ウェンディーズ」のドライブスルーエリアで黒人男性が警察官に銃撃されて死亡、13日の抗議デモで参加者の一部が同レストランに放火したほか、近隣の主要高速道路を一時封鎖する事態となった。

中西部ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが警官に首を押さえつけられて死亡した事件を受けて各地でデモが続く中、人種差別や警察の行為に対する抗議活動が全米でいっそう強まる可能性がある。

12日に射殺された男性は、レイシャード・ブルックスさん(27)。アトランタ市のケイシャ・ランス・ボトムズ市長は、地元警察のトップが13日、辞表を提出し、受理したと明らかにしている。

また警察の発表によると、ブルックスさんを射殺したとされる警官は免職、事件に関与した別の警官は休職処分となった。2人の警官はいずれも白人。

ボトムズ市長は「殺傷能力のある武器の使用が正当化される状況だったとは思わない。警官の即時免職を求めた」と述べた。

現場付近では13日、抗議デモが行われ、100人以上の参加者が警官の刑事訴追を要求した。

地元テレビの映像によると、放火されたウェンディーズの建物は消防が到着するまで45分以上にわたって炎に包まれ、全焼した。

またデモ隊の一部は近くの州間高速道路を行進し、車両の通行が一時妨げられた。

ジョージア州捜査当局によると、事件は12日、ウェンディーズのドライブスルーエリアで発生。列に並ぶ車の中で居眠りしている男性がいるとの通報があり、駆けつけた警官が飲酒の疑いでブルックスさんを拘束しようとした。

近くにいた人が撮影した動画によると、ブルックスさんは警官2人ともみ合いの末、警官からテーザー銃(スタンガン)とみられるものを奪って逃亡した。

監視カメラの映像によると、逃げながらブルックスさんは振り返り、手にしていたものを警官に向けたが、その直後に警官の1人がブルックスさんに発砲した。

地元検察当局は、この事件の調査に着手したと説明した。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・米政権のデモ弾圧を見た西欧諸国は、今度こそアメリカに対する幻想を捨てた
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・黒人男性ジョージ・フロイドの霊柩車に、警官がひざまずいて弔意を示す
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200616issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中