ドラマ版『スノーピアサー』にスタート早々の黄信号
Snowpiercer Goes Off the Rails
プロットにも難がある。第1話では先頭車両で起きた殺人事件を解決するため、最後尾車両からレイトンが呼び出されるが、すぐ最後尾車両で暴動が起きて本筋の「革命」に話が移る。だが本筋も映画よりややこしく、レイトンとメラニーは多様な派閥を掌握しようと苦闘する。そもそも乱闘シーン用の設定を政治的に分析するのは無理がある。
ただ、乱闘シーンはメリハリが効いてクール。列車の内装も映画ほど強烈ではないが、最後尾車両の粗末さと先頭車両の豪華さの対比は十分。脇筋も結局は解決し、ラスト2話はひねりが効いて本筋がかすみそうなくらいだ。目指す先頭車両まで約8時間。巣籠もり中の暇つぶしにはいいかもしれない。
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<本誌2020年6月9日号掲載>
2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル