賛否両論のオンライン診療 LINEも参入、医療制度持続への突破口にも
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、時限的に規制が緩和されたオンライン診療の活用が目に見えて広がっている。写真は九段下駅前ココクリニックの石井聡院長。15日撮影(2020年 ロイター/Izumi Nakagawa)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、時限的に規制が緩和されたオンライン診療の活用が目に見えて広がっている。現場の医師や医師会からは、医療の質や診療報酬などの点で、導入に必ずしも積極的ではない声も聞かれる。他方、若手の医療関係者からは、対面診療にオンライン診療という選択肢が加われば、患者の治療継続率向上や医師の働き方の変化につながり、医療制度の持続性という問題解決への突破口になるとの期待も寄せられている。
利用急増でもほど遠い本格普及
東京都千代田区にある「九段下駅前ココクリニック」(内科)では、オンライン診療の台帳に記載された患者が6月半ば時点で600人近くと、コロナ禍が深刻化して以降、利用者が約200人増加した。以前からオンライン診療を利用していた患者に、通院していた既存患者のオンラインへの切り替えも加わった。
コロナ感染防止対策として厚生労働省が4月に入り、初診からの遠隔診療を時限的に認め、再診も規制を緩和したことから、電話を含めた情報通信機器による診療は5月までに利用が増えたようだ。
株式会社MICINによると、2016年に提供を始めたオンライン診療サービスの医療機関との契約数が、昨年12月時点での1700件に対し、直近で約4000件となった。
LINEでは、傘下のLINEヘルスケアが、すでにビデオ通話を活用した医療相談を提供しているが、今後は医療機関との連携を強化し、この夏に新たにオンライン診療に参入する予定だ。
しかし医療機関全体での普及度合いをみると、まだ本格的な広がりにはほど遠い状況だ。
厚生労働省の統計によれば、5月下旬時点で全国で1万4500の医療機関が情報通信機器での診療を導入、うち5割が初診で使用しているという。およそ18万の医療機関総数に比べると、1割に満たない。しかも、実際に画像と音声による遠隔診療は、実はそれほど広く普及しているわけではなさそうだ。
遠隔診療のほとんどが電話診療という調査結果もある。日経メディカルの調査によると、今年に入って汎用テレビ電話や専用のオンライン診療システムを用いた医師は調査対象施設のうち6.7%にすぎず、大方は電話診療か対面診療だった。
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