感染者・死者ともにASEAN最悪に インドネシア、新型コロナ感染拡大しても規制緩和の愚策
事実、インドネシア市場商人協会関係者は13日、ジャカルタ市内の伝統的市場の8カ所で51人の市場関係者が新型コロナに感染し、1人が死亡したことを明らかにして、市民に市場での買い物に特段の注意を呼びかけた。
同協会によると全国でこれまでに新型コロナに感染した市場関係者は529人で29人が感染で死亡しているという。
ジャカルタでは東ジャカルタのジャティネガラにあるメスター市場で1人が死亡したほか、同じ東ジャカルタのクレンダールにあるプルムナス市場で18人の感染、中央ジャカルタ・チュンパカプティのラワ・クルバウ市場で14人の感染などが確認されているという。
規制の緩和=感染者の増加という現実
フィリピンでは依然として夜間の外出などが制限され、セブ市では感染者数が増加したため一度は緩和した規制を15日夜から再び厳しく戻すなど、実状にそった対策がとられている。
これに対しインドネシア、特にジャカルタは規制緩和によって感染者増加という本末転倒な状況が進んでおり、新型コロナ感染の再度の蔓延が真剣に懸念される状況となっている。医療関係者は「感染第2波がどうこうではなく、まだ第1波も終わりが見えないのが現状である」として、アニス州知事の「危機感のなさ」に強い危惧を示している。
政治的思惑などを棄てて、謙虚に現状を直視してどんな反発があろうとも再度厳しい制限や規制強化を講じない限り、ジャカルタの新型コロナ感染拡大にストップをかけることは困難となっている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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