感染者・死者ともにASEAN最悪に インドネシア、新型コロナ感染拡大しても規制緩和の愚策
的外れな自転車利用を勧める州知事
アニス州知事は16日、「単なる運動のためでなく通勤に使うといい」としてジャカルタ市民に自転車での買い物や通勤を勧めた。
知事自らがジャカルタ市内南部のルバック・ブルスにある自宅から中心部の州政府庁舎までの約19キロ間を自転車通勤することもあると強調。「自転車とヘルメットさえあれば市場への買い物、モスクへの祈り、そして職場への通勤と気軽に利用できる。自宅から役所までに19キロはみんな遠いというが、リラックスして乗れば快適だ」と「自転車の勧め」を説いている。
だが、医療関係者などはマスクにフェイスシールドを着用しての運動は熱中症や呼吸困難に陥る危険があると警告しているほか、朝夕の通勤時間帯に渋滞が各所で発生しているジャカルタ市内の道路状況では、自転車の車道走行は危険この上なく、「自転車通勤の勧めは身体的危険と共に交通事故の危険もある」との指摘もでている。
さらにインドネシアではオートバイの所有者は多いものの、自転車は一部のサイクリストらに限られているのが実状で「生活に困っているのに自転車を買う金があるわけないだろう」との反発も強い。
また自転車を子供の頃から乗り慣れている日本人などと違って、インドネシア人で自転車を乗りこなすのは少数派という現実も無視されており、アニス知事の「自転車の勧め」に対しては「ピント外れ」「非現実的」との批判が相次いでいる。
市民の台所、市場で感染拡大の現実
4日からのPSBB規制緩和に伴いジャカルタ市内では市場が再開し、大型ショッピングモールも15日から営業を再開している。路面店のレストランは8日から、モール内のレストランは15日からと、日本食レストランをはじめとする飲食業もこれまでの「宅配、持ち帰り限定」から衛生ルールの順守を条件に営業再開が認められるようになった。
この衛生ルールでは、客に対してマスク着用、体温検査、手指の消毒などを求めており、店側は従業員のマスクやフェイスシールド、調理人のビニール手袋着用と手洗い常時励行、さらに定員の50%までの入店規制が必要とされている。
飲食店内はそうしたルール適用が求められるが、店舗外のモール、市場、通勤のターミナル駅の待合室などは3密状態がすでに始まっており、ジャカルタでは感染者数が減少する環境になっているとは言い難いのが現状である。
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