批判覚悟で中国を称賛 WHO事務局長テドロス・アダノムの苦悩と思惑
各国からの援護射撃
これまでのところ、ほとんどの主要国がWHOを支持している。フランスとドイツ、イギリスはWHO支持を表明し、今は非難するよりも、感染拡大との戦いに集中するべきとしている。ドイツ政府関係者は、感染拡大の脅威に共に立ち向かうよりも、過去の出来事にこだわる米国の姿勢は「非合理的」だと話す。
中国外務省は、「パンデミックが終息した後の適切な時期」に、WHO事務局長が新型コロナウイルスに対する世界の対応を検証する委員会を設置することを支持するとの声明を出した。一部の国がWHOの検証やウイルスの起源追跡に力を入れようとしていることに反対すると表明し、こうした動きは「伝染病を政治化」し、WHOの仕事を妨害しようとする試みだと批判した。
WHOの関係者は、4月24日に行われたビデオ会議で、各国首脳がWHOとテドロス氏支持を公に表明したことを、ある種の「勝利」と受け止めている。
この会議では、新型コロナウイルスの検査や治療薬、ワクチンの開発を加速させる協力体制の構築が話し合われ、各国首脳がテドロス氏やWHOに謝意や賞賛を伝えた。
マクロン仏大統領は、テドロス氏を「私の友人」と呼び、米国と中国を含め、主要国が一丸となって支援するよう促した。「新型コロナウイルスとの闘いは人類共通の利益で、この戦いに勝利するためには分断があってはならない」と、マクロン大統領は訴えた。
「非常に心強く感じた」と、前出のWHO高官は打ち明ける。「一緒に戦ってくれる仲間がいるのだと感じた」
Kate Kelland and Stephanie Nebehay(翻訳:エァクレーレン、山口香子)
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