新型コロナウイルスが深めた絆 双子の救命医それぞれの最前線
父の願い
双子の母親であるリンダ・ダーゾさんも、2人が感染を恐れていることを感じ取っている。リンダさんは記者との電話で、「今こそ、2人をしっかりハグしてあげることが必要だと思うのに」と涙声で語った。「PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えるのではないか」
夜勤の多かった父ジェームスさんは、シフトを終えた後、息子たちが学校に行く準備をするあいだに職場でのエピソードを語り聞かせていた。しかし、救命医療への情熱をかき立てるつもりはなかった。救えなかった命や無能な同僚への苛立ちについても語るように心がけた。
それでも、ジェームスさんは息子たちが医療の道を選んだ理由は理解している。「やり甲斐のある仕事を探すなら」と、ジェームスさんは言う。「緊急治療室に勝る場所はない」
今のジェームスさんにとって、息子たちを「同志」と思えるのは喜びだ。容態の悪い患者をどう治療したか息子たちが語るとき、ジェームスさんはあれこれと口を挟むのがお気に入りである。彼らが学校でどれほど勉強したのか驚かされる、とジェームスさんは言う。息子たちにとっては、父親が実に多くのことを記憶していることが驚きだ。
ジェームスさんには、息子たちがリスクを負っていることが分かる。子どものころ、マイケルさんとデニスさんがやっていたゲームを思い出す。2人は階段を途中まで登って、そこから飛び降りる。兄弟はお互いに、少しでも高い段から飛ぼうとしていた。
「一方では、止めなさいと言いたくなる。危ないからね。でも他方では、言わないでおこうと思う。息子たちには大胆に人生を送ってもらいたい」と、ジェームスさんは言う。
「息子たちは力を合わせて、1人ではできないことをやってきた」
Nick Brown(翻訳:エァクレーレン)
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