最新記事

新型コロナウイルス

「中国製の人工呼吸器は欠陥品」イギリスの医師らが政府に直訴状

British Doctors Say Ventilators Purchased From China Could Kill Coronavirus Patients

2020年5月1日(金)14時50分
キャサリン・ファン

ロンドンの仮設病院のために用意された大量の人工呼吸器 Stefan Rousseau/REUTERS

<各国に医療用品を提供して「マスク外交」を展開する中国、その信頼性を疑う声が続々と上がっている>

イギリスの医師らのグループが、中国から購入した250台以上の人工呼吸器に関して、安全性への懸念を表明した。

米NBCニュースによると、英NHS(国民保健サービス)が運営する病院に勤務する医師らが幹部宛てに手紙を送り、もしこの人工呼吸器が病院で使用された場合には、「患者に甚大な被害を及ぼし、最悪の場合は死亡する」と警告した。

この人工呼吸器は北京の医療機器メーカー「北京誼安医療(Beijing Aeonmed)」が製造した「シャングリラ510型」。この件に関する製造元のコメントは得られていない。

医師らは手紙で、人工呼吸器の「基本的」な性能に深刻な懸念があると述べている。「不安定で信頼性に欠ける」という。またイギリスの医師たちはこのモデルの人工呼吸器についてよく知らないうえ、そもそも救急搬送用のもので病院では使用しないという。

このため医師らは、「この人工呼吸器を回収して、我々の患者に集中治療を行うより良い医療器具への交換を望む」と政府に求めている。

中国製は「予備」の機器?

本誌の取材に対して、NHSに代わってコメントした英保健省は、「シャングリラ510型」は予備として所持しているもので、現時点ではイギリスのどこの病院でも使用されていない、と回答した。

また英政府広報は、「人工呼吸器はNHSの各病院に届けられる前に、使用基準に達しているかどうか厳格な検査に合格しなければならない」と、本誌取材に答えた。

手紙の日付は、英政府が医療機器を提供した中国への謝意を示した9日後の4月13日になっている。

この時、会見した内閣府担当大臣のマイケル・ゴーブは、「イギリスの医療体制の確保を支援してくれた中国政府に対して感謝する」と話していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英消費者信頼感、11月は3カ月ぶり高水準 消費意欲

ワールド

トランプ氏、米学校選択制を拡大へ 私学奨学金への税

ワールド

ブラジル前大統領らにクーデター計画容疑、連邦警察が

ビジネス

カナダ、63億加ドルの物価高対策発表 25年総選挙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中